最新記事

日本社会

チョコ「毎日1億円」売る名古屋の催事とは? 世界初ゴディバの別注も

2020年2月3日(月)19時15分
市川 歩美(ショコラコーディネーター) *東洋経済オンラインからの転載

オリジナルな取り組みも会場を沸かせる。そのひとつが「売り上げランキングボード」だ。

newsweek_20200203_145641.jpg

毎日売り上げランキングが表示される(写真提供:ジェイアール名古屋タカシマヤ)

もともと2012年に来場者への案内のために設置されたが、ブランド側が注目し始めた。「ランキングが表示されるので私たちも熱くなれます」(レ トロワ ショコラ パリ 佐野恵美子さん)ランキングを上げるために、シェフが積極的に来場するようになった。

「シェフのお立ち台」もユニークだ。

newsweek_20200203_151756.jpg

シェフが「お立ち台」に乗ると、遠くから見つけやすい(著者撮影)

数年前、あるシェフが台の上から接客をしたところ、ほかのブランドがまねるようになり、今や「お立ち台」は会場のスタンダード。「シェフがお立ち台に乗ると、社員はすかさず「シェフ来場中でーす!」と叫びます。するとお客さまの行列ができてシェフが気持ちよく仕事をしてくださるんです」。(犬飼さん)社員、スタッフ、シェフが一丸となって会場を盛り上げているのがわかる。

人気ブランド呼ぶため冷蔵ケースを購入

今でこそ日本一のバレンタイン催事も、最初は手探りだった。「私たちは2000年にオープンしたので、名古屋ですぐには認めてもらえませんでした。だからこそなんとかお客さまに来ていただこうと社員が知恵をしぼり、バレンタインの催事が生まれたのです」。(犬飼さん)

第1回は2001年。それまで百貨店のバレンタインは、地下の食料品売場を広げる程度で、催し会場を使う発想がなかった。「ある時、催し会場でバレンタイン催事をやったら?とアイデアが出ました。わざわざ10階までお越しいただけるのかな、と心配したものの、結果は大成功でした」。(犬飼さん)今では一般的になった、催事場での百貨店のバレンタインイベントを初めて行ったのは、実はジェイアール名古屋タカシマヤだ。

2年目以降は、なんとか人気ブランドに出店してもらえるようにと、チョコレート用の冷蔵ケースを大量に確保した。バレンタイン時期はリース会社に冷蔵ケースの発注が集中し、確保が難しい。「それなら大量に買ってしまおう」という当時の経営判断が、その後の規模拡大につながることになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、イラン・イスラエル仲介用意 ウラン保管も=

ワールド

イラン核施設、新たな被害なし IAEA事務局長が報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中