最新記事

ユニコーン企業

米ウィーワーク、ソフトバンクと資金調達交渉 目的はリストラ費用確保

2019年10月8日(火)11時34分

共用オフィス「ウィーワーク」運営の米ウィーカンパニーは今週、大規模リストラを実施する資金の確保に向け、筆頭株主ソフトバンクグループから10億ドルの追加出資を取り付けるため同社と交渉している。事情に詳しい関係筋が明らかにした。写真は1月にニューヨークで撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)

共用オフィス「ウィーワーク」運営の米ウィーカンパニーは今週、大規模リストラを実施する資金の確保に向け、筆頭株主ソフトバンクグループから10億ドルの追加出資を取り付けるため同社と交渉している。事情に詳しい関係筋が明らかにした。

ウィーは前週、企業評価額やビジネスモデルを巡る投資家の懸念が強まったことから、新規株式公開(IPO)申請の取り下げを余儀なくされた。関係筋によると、ソフトバンクGとの交渉が成立した場合、30億ドルの融資確保に向けJPモルガン・チェースと交渉する見通しだという。

ソフトバンクGの孫正義社長は今週、日経ビジネス誌のインタビューで、ウィーカンパニーが10年後にかなりの利益を上げていると述べて同社を擁護している。

ウィーとソフトバンクはコメントの求めに応じていない。

ソフトバンクと傘下投資ファンドのビジョン・ファンドはこれまで、合意だけの分も含め、ウィーカンパニーに106億5000万ドルを出資しており、約29%を持つ筆頭株主。追加出資を目指すが、異例な不透明感が漂っている。

ソフトバンクGが1月にワラント(株式引受権)による15億ドルの投資で合意した際のウィーの評価額は約470億ドルだった。関係筋の1人によると、ソフトバンクは10億ドルを追加出資する前にワラントの条件を再交渉したい考えだという。

ロイターは前月、ウィーがIPOを断念した際の推定企業評価額は100億─120億ドルまで落ち込んだと報じた。

通常ならば、追加出資に向けた条件再交渉でソフトバンクは、評価額をできる限り引き下げ、保有率の拡大を狙うと想定される。ただ、ソフトバンクとビジョンファンドが既に保有するウィー株は推定企業評価額約240億─260億ドルに基づいていることから、これを下回る水準で追加出資すれば評価損が発生することになると証券アナリストは分析する。

一方、ウィーが現在の形で存続するには、ソフトバンクや米金融機関との交渉が成立するかどうかが極めて重要となる。

関係筋によると、同社は野心的な経営目標を大幅に見直し、数千人の人員削減を実施することが既に見込まれている。

同社は2018年に19億ドルの赤字を計上し、今年上半期のキャッシュフローの赤字は23億6000万ドルに上った。米サンフォード・C・バーンスタインが先週出した試算では、現在のペースで資金が流出し続ければ、2020年第2・四半期に手元資金が尽きる可能性がある。

関係筋によると、ウィーはソフトバンクとJPモルガンとの交渉を来週にも終わらせたい考え。ただ、計画が変更される可能性もあるという。

関係筋の1人によると、JPモルガンは、ソフトバンクによる追加出資が確定するまで、融資に関する交渉を本格化する考えはないという。JPモルガンが担保に何を要求するかは不明。

銀行団は当初、ウィーがIPOで30億ドルを調達することを条件に、60億ドルの融資枠を設定する準備を進めていた。

JPモルガンはコメントを控えた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




20191015issue_cover200.jpg
※10月15日号(10月8日発売)は、「嫌韓の心理学」特集。日本で「嫌韓(けんかん)」がよりありふれた光景になりつつあるが、なぜ、いつから、どんな人が韓国を嫌いになったのか? 「韓国ヘイト」を叫ぶ人たちの心の中を、社会心理学とメディア空間の両面から解き明かそうと試みました。執筆:荻上チキ・高 史明/石戸 諭/古谷経衡


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港紙創業者に懲役20年、国安法裁判 国際社会は強

ワールド

仏中銀総裁、6月に前倒し退任 ECB理事会のハト派

ワールド

イラン原子力長官、ウラン濃縮度引き下げ検討も 制裁

ワールド

英首相、辞任要求にも続投示唆 任命問題で政権基盤揺
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日本をどうしたいのか
  • 4
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 8
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 8
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 9
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中