最新記事

貿易戦争

日米貿易交渉、米国産牛肉の緊急輸入制限緩和へ 低関税枠拡大

2019年9月20日(金)18時45分

日米両政府は、米国産牛肉の日本輸入に関し、国内食肉事業者に打撃が懸念される急激な輸入増に対して発動される緊急輸入制限の発動基準数量を年間約24万トンとすることで合意する見通しだ。写真は米国からの輸入牛肉。2018年4月6日、中国北京で撮影(2019年 ロイター/Thomas Peter)

日米両政府は、米国産牛肉の日本輸入に関し、国内食肉事業者に打撃が懸念される急激な輸入増に対して発動される緊急輸入制限(セーフガード)の発動基準数量を年間約24万トンとすることで合意する見通しだ。昨年末に発効した環太平洋連携協定(TPP)参加国とは約60万トンが発動基準となっており、安価な海外産牛肉の輸入枠が事実上拡大する恰好だ。複数の関係筋が明らかにした。

日米は米国産牛肉の輸入関税について、TPPと同水準とすることで合意する方向。米産牛肉の関税は現在の38.5%から段階的に9%まで引き下げられる見通し。

これに加え調整が進んでいるのが、低関税での輸入牛肉が急増した場合に発動するセーフガード。TPPでは、参加国からの牛肉輸入が年間約60万トンを上回ると発動すると決まっている。この発動基準数量は、米国がTPP交渉から離脱する前に合意されたもので、トランプ政権誕生を受けた米国のTPP離脱後も縮小されていないため、発動される可能性が低い状態となっている。

日米間でのセーフガード発動条件、約24万トンは、2018年度の日本の米産牛肉の輸入量(25万5000トン)とほぼ変わらない。

日本の消費者の視点に立つと、米産牛肉の関税はTPP参加国と同等となるが、食肉事業者にとってはTPPよりも低価格枠が拡大する恰好だ。日米通商交渉で、TPP以上の譲歩はない、としてきた政府答弁との整合性が問われる可能性もありそうだ。

政府・与党関係者によると、米国のTPP離脱により日本での米国産牛肉の輸入は減っていないものの、米国の食肉事業者は豪州やカナダなどTPP加盟国の日本でのシェア拡大を懸念しており、これまで様々な輸入拡大要請を打診してきたようだ。

政府としては和牛の対中国輸出拡大といった輸出環境の整備など業界対策を今後検討していく意向。TPP加盟国に対しては再交渉を行い発動基準数量の縮小を求めて行きたい考えだ。

(竹本能文※)

[東京 20日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月31号(3月24日発売)は「BTS再始動」特集。7人の「完全体」で新章へ、世界が注目するカムバックの意味 ―光化門ライブ速報―

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、5000件増の21万件 予想と

ビジネス

エネルギー高のインフレリスク、ウクライナ侵攻時より

ビジネス

OECD、26年の英成長率予想を大幅下方修正 イン

ビジネス

再送-独ポルシェSE、通期決算は9%減益 防衛分野
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 2
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「日本産ミュージカルの夢」に賭ける理由【独占インタビュー】
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    「有事の金」が下がる逆説 イラン戦争で市場に何が…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 7
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 8
    地上侵攻もありえる...イラン戦争が今後たどり得る「…
  • 9
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 10
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 3
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 9
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中