最新記事

動物保護

ヤフー、象牙取引禁止へ 容認続ける日本政府に国際批判強まる可能性も

2019年8月28日(水)14時15分

フーは同社が提供する電子商取引(EC)サービスで象牙製品の取引を禁止する方針を決めた。写真は2016年4月にナイロビで撮影(2019年 ロイター/Thomas Mukoya)

ヤフーは同社が提供する電子商取引(EC)サービスで象牙製品の取引を禁止する方針を決めた。関係筋が明らかにした。

大手ECサイト上での象牙取引を巡っては、楽天とメルカリがすでに禁止している。ヤフーも禁止にかじを切ったことで、国内取引を容認している日本政府への国際的な批判が一層強まる可能性がある。

28日に発表する。

現在、スイス・ジュネーブで開かれているワシントン条約締約国会議でも象牙取引が議論されており、21日の委員会では日本など象牙の取引市場を維持する国に、違法取引を防ぐ対策の実施状況を報告するよう求めることで合意した。

諸外国では、象牙の最大の消費国である中国をはじめ、米国やフランス、シンガポールなど取引市場を閉鎖する国が相次いでいる。こうした中、日本は密輸や違法取引には関与していないとして国内市場を維持しており、ヤフーも政府と歩調を合わせる形で取引の場を提供してきた。

ヤフーはこれまで「日本の象牙取引はアフリカゾウの密猟には直接的には関係していない」と主張。同社が提供するオークションサービス「ヤフオク!」などで取引されている象牙は過去に合法的に輸入されたものだと訴えてきた。

これに対し、世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)が、ヤフーが象牙取引を容認していることで、国際的な違法取引の供給源になるリスクがあるとして、2018年9月に取引停止を求める要望書を24の国・地域のWWFと連名で提出。国際的な批判が強まっていた。

実際、ヤフオクで取引された象牙が中国に違法に輸出された事件も発生している。ヤフーは取引自体は適法でもこうした事件が発生したことや昨今のプラットフォーマーを取り巻く環境、象牙取引をめぐる国際的な流れなどを踏まえ、取引を禁止する方針を決めた。11月1日から実施する。

(志田義寧 サム・ナッセイ)

[東京 28日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



ニューズウィーク日本版 トランプ関税15%の衝撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月5日号(7月29日発売)は「トランプ関税15%の衝撃」特集。例外的に低い税率は同盟国・日本への配慮か、ディールの罠

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米四半期定例入札、8─10月発行額1250億ドル=

ワールド

ロシア、米制裁の効果疑問視 「一定の免疫できている

ビジネス

米GDP、第2四半期3%増とプラス回復 国内需要は

ワールド

イラン核施設への新たな攻撃を懸念=ロシア外務省報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中