最新記事

VWとフォードの提携強化 自動運転業界の勢力に変化

2019年7月16日(火)09時00分

米フォード・モーターと独フォルクスワーゲン(VW)が計画している世界的な提携拡大にはフォードが出資する米自動運転ベンチャー、アルゴAIについて協力関係を結ぶことが含まれる見通しで、今後は自動運転車業界の勢力図が変わる可能性もある。写真は2月21日撮影(2019年 ロイター/Amanda Perobelli)

米フォード・モーターと独フォルクスワーゲン(VW)が計画している世界的な提携拡大にはフォードが出資する米自動運転ベンチャー、アルゴAIについて協力関係を結ぶことが含まれる見通しで、今後は自動運転車業界の勢力図が変わる可能性もある。

フォードとVWは11日、両社のトップが12日にニューヨークで会見し、提携関係の拡大について説明すると発表した。

アルゴは2017年からフォードの自動運転車開発をけん引しており、フォードとVWが連合してアルゴと協力すれば、双方の技術面や資金面の負担軽減に寄与しそうだ。また、フォードとVWは2021年に自動運転車の商用化を開始する計画だが、アルゴとの提携でその開始時期も早まるだろう。

自動運転車分野はアルファベット傘下のウェイモが自動運転バンを提供し、ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のクルーズ・オートメーションが数十億ドルの資金を集めているのに比べ、アルゴはこれまで影が薄かった。

しかしVWは昨年の自動車販売台数が世界首位で、アルゴは十分な規模と資源を持つ企業と提携することになる。

フォードとVWのアルゴを含めた提携強化は、自動運転車分野での他の提携の構図や関連技術を持つ新興企業の評価額にも影響しそうだ。

アルゴのこれまでの評価額は20億─40億ドル。VWが提携に加わることでこの金額がどう変わるかははっきりしない。

クルーズ・オートメーションはソフトバンクやホンダ、T・ロウ・プライスから60億ドル強の出資を受けた後、今年に入って評価額が190億ドルに膨らんだ。

米配車大手ウーバー・テクノロジーズ傘下のアドバンスト・テクノロジーズ・グループ(ATG)は、ソフトバンク、トヨタ自動車、デンソーから10億ドルの出資を受け、評価額が70億ドルを超えた。

ただ、業界トップと目されているウェイモの評価額はクルーズとATGを大幅に上回っている。モルガン・スタンレーの試算は最大1750億ドル、ジェフリーズの試算は最大2500億ドルだ。

これらの計算はウェイモが立ち上げたばかりの「自動運転タクシー」事業、配達や車内の電子商取引関連サービスなどから見込まれる将来の売上高などを織り込んでいる。

(Paul Lienert記者)

[デトロイト ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エネルギー貯蔵、「ブームサイクル」突入も AI需要

ワールド

英保健相、スターマー首相降ろし否定 英国債・ポンド

ビジネス

ロシア、初の人民元建て国内債を12月発行 企業保有

ビジネス

再送-オリックス、純利益予想を上方修正 再エネの持
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 6
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働…
  • 7
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 8
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 9
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中