最新記事

テクノロジー

【2016年注目の動き】自動運転車と配車サービス、小型ドローン、VR

昨年いっきに芽吹いた印象のある各技術が、今年どこまで成長するか

2016年1月5日(火)17時00分
三国大洋(オンラインニュース編集者)

VRが普及する? 先日パリで行われたCOP21でもVRヘッドセットを使ったプレゼンが行われた Stephane Mahe-REUTERS

 テクノロジー分野に関する「2016年注目の動き」といった趣旨の記事が、年末から年始にかけて複数の米媒体に掲載されていた。また米国では6日から始まる「CES 2016」(毎年恒例の家電分野のトレードショー)に合わせて、その見所を予想する記事も出ていた。

 これらで共通して挙げられているのは、自動運転車、ドローン、VR、ウェアラブル、スマートホームなど。またこれらとのつながりからAI(人工知能)やセンサー、チップ類、それに全部を包括するIoTといった基幹要素を挙げたものも見かけた。全体として「昨年いっきに芽吹いた印象のある各技術が、今年どこまで成長するか」といった状況といっていいかもしれない。今回は主に自動運転車、ドローン、VRの3つの分野について現状をおさらいしてみる。

(1)自動運転車と配車サービス

 まずいちばん注目度が高そうなのが自動車の分野で、CESでは大手自動車メーカー9社が出展したり発表を行ったりする予定・・・などと呑気に書いていたら、さっそくGM(ゼネラル・モータース)が配車サービス(ライドシェアリング)の米リフト(Lyft)に5億ドルを出資し、共同で自動運転車の開発を進めることになった、というニュースが米国時間1月4日に報じられて、大きな話題になっていた。今回のCESでGMのメアリー・バッラCEOが行う予定の基調講演のなかでも、この出資・提携に関する話に多くの時間が割かれることになっても不思議はないように思える。

 グーグルがフォードと提携して配車サービスの合弁会社を設立するのではないか、その発表をCESで行うのでないか、という話が昨年末に流れていたのは前回の記事に記した通り。現時点ではまだ未確定のグーグルーフォードの提携話が本当に発表されると、米国で生き残った大手自動車メーカー2社がそれぞれシリコンバレー勢と手を組むことになる。日本勢やドイツ勢に比べて世界的には旗色がよくないようにみえる米国の2社がシリコンバレーとの相乗りを真っ先に決めたというのも興味深い点だが、これで一時的に取り残される格好の他の自動車メーカーや、独自に技術の開発を進めようとしているウーバー(米配車サービス最大手で世界展開を進行中)、あるいはテスラモーターズ、そして以前から自動車開発の噂が絶えないアップルなどがどういう動きを見せるかも気になるところ。

 今回のGMーリフトの提携話で改めてはっきりしたのは、自動運転車開発に関する配車サービス事業者の影響力の大きさだろう。

 配車サービス分野では、昨年ウーバーが中国に進出したのをきっかけに、ウーバーに対抗する大手各社の提携が活発化している。具体的には昨年初めまで中国市場で競合していたディディとクァイダイの大手2社が2月に合併、さらに昨年12月にはこのディディ・クァイダイ(Didi Kuaidi)とインド最大手のオラ(Ola)、東南アジア各国で事業展開するグラブタクシ(GrabTaxi)、それに米リフトが、サービスの相互乗り入れなどを含む業務提携を発表。またディディがリフトやタクシグラブに出資して・・・といった具合だが、このリフトに楽天が出資していたり、あるいはソフトバンクがディディやオラにも出資していたりもするので、一概に「海の向こうの話」とは片付けられない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米政権の対インド追加関税が発動、関税率最大

ビジネス

中国株にヘッジファンド資金流入、8月は6カ月ぶり高

ビジネス

米商用車メーカー、メキシコからの調達拡大 関税コス

ビジネス

北海ブレント、26年終盤に50ドル前半に下落へ=ゴ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 5
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 6
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 7
    イタリアの「オーバーツーリズム」が止まらない...草…
  • 8
    「ありがとう」は、なぜ便利な日本語なのか?...「言…
  • 9
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中