最新記事

インド

第2次インドブーム到来、「ミセスワタナベ」の投資熱再び

2015年11月20日(金)12時22分


インド投信の成績好調

 前回のインド投資ブームでは、日本の投資家は深刻なダメージを受けた。2007年末までに6120億円(約49億7000万ドル)もの資金を投じたが、世界的な金融危機が吹き荒れるなか、インド株は円建てで約73%下落、投資家の多くが大きな損失を被ることになった。

 ただファンドマネジャーは、今回は違うと考えている。

 日本の投信によるインド株式の保有残高は現在3150億円(約25億6000万ドル)で、5年ぶりの高水準となっている。

 インドでは外貨準備が3510億ドルと、2013年末の2960億ドルから増加しており、米利上げで市場が混乱しても乗り切ることは可能と見られる。

 リッパーによると、インドに投資する日本の債券ファンドはこの1年、円建ての運用成績が平均12.6%のプラス。ブラジル投資ファンドは平均27.6%のマイナスで、トルコは15.8%のマイナスだ。

 インドはまた、原油価格下落の恩恵も享受できる。インドは、エネルギー需要のおよそ3分の2を輸入に頼っているからだ。

 ETF(上場投資信託)を通じてインド株に投資しているという東京都内の男性会社員(51)は、インドにリターンを期待する理由として、原油安に伴う恩恵を挙げている。

 外国人投資家は今月これまで、債券・株式を9億9340万ドル売り越した。ただ今年現時点までで見ると、138億ドルの買い越しとなっている。昨年は420億ドルの買い越しを記録していた。

 また日本勢は、インドの資産運用セクターで商機を模索している。日本生命保険は今年10月、インドのリライアンス・キャピタル・アセットマネジメントの発行済み株式を1億8400万ドルで追加取得し、出資比率を最大49%に引き上げることで合意した、と発表した。

 あるインド資産運用会社の幹部は「日本の個人マネーは概して息が長い。当社は、日本で営業・販売提携を拡大している」と話した。

 ホットマネーの流入を警戒するインドにとっては、日本の投資家は、今のところありがたい客に見えるようだ。

(佐野日出之記者、Himank Sharma記者 翻訳:吉川彩 編集:加藤京子)

[東京/ムンバイ 20日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英国王夫妻、トランプ米大統領夫妻をウィンザー城で出

ビジネス

三井住友FG、印イエス銀株の取得を完了 持分24.

ビジネス

ドイツ銀、2026年の金価格予想を4000ドルに引

ワールド

習国家主席のAPEC出席を協議へ、韓国外相が訪中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中