アングル:米利上げ、中国・韓国など北アジア株に追い風か
米経済の回復が北アジアのマーケットを下支え

5月13日、米連邦準備理事会が市場の予想通り年内に利上げを開始した場合、ドル高とコモディティ価格下落の組み合わせが北アジアの株価に追い風を吹かせそうだ。写真は株価ボードを眺める個人投資家、上海で12日撮影(2015年 ロイター/Aly Song)
[シンガポール 13日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が市場の予想通り年内に利上げを開始した場合、ドル高とコモディティ価格下落の組み合わせが北アジアの株価に追い風を吹かせそうだ。
中国、韓国、台湾の各株式市場は今年、コモディティ価格下落により製造業のコストが低下したのに加え、ドル高で輸出競争力が高まったため、他市場をしのぐ上昇を示している。
こうした構造はフィリピン、インド、タイといった市場にも恩恵をもたらしそうだが、コモディティ輸出に依存するインドネシア、マレーシア、ロシアのほか、中東や中南米の新興諸国は米国の利上げ開始後に苦戦しそうだ。
BNPパリバのマネジングディレクター兼アジア株式ストラテジスト、マニシ・レイショードリ氏は「ことし最初の4カ月間は北アジアが主役だった。アジアと比較すると、世界の新興国市場全体は大幅にアンダーパフォームすることになるだろう」と述べた。
MSCIエマージング・マーケッツ・アジア指数<.MIMS00000PUS>が年初から9.5%上昇したのに対し、アジアを除くMSCIエマージング・マーケッツ指数<.MIEFZ0000PUS>は3.8%の上昇にとどまっている。
オールド・ミューチュアル・グローバル・インベスターズのアジア株式責任者、ジョシュ・クラブ氏は「米景気が回復を続ければ、輸出が促進されるため北アジア経済にとって支えとなる」と話す。
中国と韓国は世界最大級の石油と鉄鉱石の輸入国でもあり、両商品の大幅下落による恩恵も大きい。
<アジアの出遅れ組>
コモディティ価格の下落はマレーシアとインドネシアに打撃を与えた。マレーシアの石油輸出量は少ないが、天然ガスの輸出が多い。インドネシアは石油に関しては純輸入国に転じたが、その他のコモディティでは主要輸出国の一つだ。
ハンセン・インベストメントは先月のノートで、インドネシアの株式取引は外国人が4割を占めるため、米国の利上げが始まれば資金流出による影響を受けやすいかもしれないと指摘した。
インドネシアの経常収支は赤字で、マレーシアの経常黒字は縮小しつつある。クラブ氏は、米金利が上昇すればドル建て債務の返済コストが増大しかねないと見る。
対照的に、中国、韓国、台湾は経常黒字規模で世界のトップ10に入っており、対外借り入れコスト上昇の影響を免れる。