最新記事

インターネット

創業者の退場はヤフー終章の始まり?

技術的には天才でも経営の才には恵まれなかったジェリー・ヤンの退場は、身売りのサインなのか

2012年1月18日(水)15時40分
マリヤ・カリムジー

会社を愛し過ぎて 自ら作り上げたヤフーを売る決断がヤンにはできなかった Lucas Jackson-Reuters

 ヤフーの共同創業者で元CEOのジェリー・ヤンが1月17日付けで、同社の取締役を辞任した。ヤフーの報道発表文によれば、ヤンは社内のすべての役職から退き、日本のヤフーや中国のアリババ・グループ・ホールディングスの取締役も辞任するという。

 発表文の中で本人は、「創業から現在に至るまでヤフーで過ごした時間は、私の人生でも特に刺激的で実り多き経験をいくつも与えてくれた。しかし、そろそろヤフー以外の関心事を追求すべき時が来た」と語っている。

 ヤンは95年、デービッド・ファイロと共にヤフーを創業。しかし同社はここ数年、収益源であるオンライン広告でフェースブックやグーグルの後塵を拝す苦戦が続いていた。ヤンは07〜09年にCEOを務めたが、経営者としてはまったく無能。マイクロソフトからの475億ドルの買収提案を拒否したのがそのいい例だ。ヤンは感情的にヤフーに固執しており、正しい経営判断を下すことが出来なかったのだ。

 その後業績はさらに低迷し、ヤンは株主の反発でCEOの座を追われる。ハイテク業界のトップを歴任してきたキャロル・バーツが後を引き継いだが、そのバーツも昨年9月に解任された。

 これはヤフー終わりの始まりだろうか。ウォールストリート・ジャーナルは次のように伝えている。。


 ヤン辞任のタイミングは非常に興味深い。ヤフーは今年に入ってオンライン決済サービス会社ペイパルの元社長スコット・トンプソンをCEOに迎え入れたばかり。さらに春には年次株主総会が控えている。ヤフーの経営陣は総会で、現在進めている経営戦略の見直しや、08年のマイクロソフトからの買収提案への対応について批判や圧力を受けることになるだろう。


GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:アフリカのコロナ犠牲者17万人超、予想を

ワールド

米上院、つなぎ予算案可決 政府機関閉鎖ぎりぎりで回

ワールド

プーチン氏「クルスク州のウクライナ兵の命を保証」、

ビジネス

米国株式市場=急反発、割安銘柄に買い 今週は関税政
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 2
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴された陸上選手「私の苦痛にも配慮すべき」
  • 3
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 4
    中国中部で5000年前の「初期の君主」の墓を発見...先…
  • 5
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 6
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「天然ガス」の産出量が多い国は…
  • 8
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 9
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 10
    エジプト最古のピラミッド建設に「エレベーター」が…
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 5
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 8
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 9
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 10
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中