最新記事

オランダ

大麻店はオランダ人限定で観光に打撃

合法大麻販売店「コーヒーショップ」の外国人の利用を禁じる方針を示したオランダ政府だが、観光業界は猛反発

2011年6月8日(水)17時18分

自由の象徴? ロッテルダムの「コーヒーショップ」で大麻をふかす男性 Jerry Lampen-Reuters

 オランダ政府は先月、大麻が合法で販売されている通称「コーヒーショップ」について、外国人の利用を禁じる方針を発表した。反対派は、「オランダの観光業にとって自殺行為だ」と猛反発している。

 政府はウェブサイトでこの決定を発表。目的は「犯罪や迷惑行為、外国人によるドラッグツーリズム」を減少させることだ。

 さらに政府は「大麻許可証」の導入も検討している。コーヒーショップを会員制のクラブに変え、18歳以上の成人オランダ人のみに利用を制限する、というもの。安全・司法省の報道発表には以下のように記されている。


 コーヒーショップの利用は許可証を所持する会員に限られ、1店当たりの会員数の上限も定める。会員は成人のオランダ国民に限定する。


 政府はこの規制はドイツやベルギー国境で頻発している密輸を取り締まるためにも必要だとしている。


 オランダは麻薬密輸行為の取り締まりを強化する。対象となる犯罪組織の割合は20%から40%へと2倍に増加する見込みだ。


 コーヒーショップの外国人規制はオランダの南部地域で今年中に施行され、2012年には全国で実施される。

かえって治安は悪化する?

   首都アムステルダムの観光産業は、徹底抗戦を誓う同市の市長を担ぎ、規制に反対の声をあげている。アムステルダム観光局は、規制は外国人差別に当たると主張している。同観光局は「大麻などのソフトドラッグが以前のように路上で違法に販売されるようになり、犯罪や危険な事件を増加させることになる」ことも懸念する。

「オランダ政府はオランダの国全体のためを考えてこの規制を決定したが、アムステルダムにとっては望ましくない」と同観光局の広報担当者マクタルド・リグトヴットはCNNの取材に対して語った。

「私たちはコーヒーショップを積極的に推進しているわけではない」とリグトヴットは言う。「それでも、この地でソフトドラッグを購入して使えるというアイデアそのものが、アムステルダムの魅力の1つであり、かの有名な自由の精神を表してもいる」
 
 ロイターの報道によると、アムステルダムの歓楽街に推定220店舗あるとされるコーヒーショップの一部は、既に閉鎖し始めているという。

 強硬策に出たオランダ政府だが、国内の麻薬使用は「ここ10年ほどほぼ安定した状態にある」としている。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英中銀の12月利下げを予想、主要金融機関 利下げな

ビジネス

FRB、利下げは慎重に進める必要 中立金利に接近=

ワールド

フィリピン成長率、第3四半期+4.0%で4年半ぶり

ビジネス

ECB担保評価、気候リスクでの格下げはまれ=ブログ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中