最新記事

米メディア

NYタイムズを半額で購読する法

いくら紙の新聞に愛着があるといっても法外な定期購読料を払う道理はない。読者はもっと利口になるべきだ

2010年11月19日(金)17時17分
ティモシー・ノア

本音がうっかり NYタイムズの編集幹部が定価通りの購読料を払っている読者をバカ呼ばわりして問題に Lucas Jackson-Reuters

 ニューヨーク・タイムズ紙の新商品・戦略担当のジェラルド・マルゾラッティ編集局次長が11月10日、小さな過ちを犯した。デジタルメディアに関する公開討論会でうっかり、同紙の「80万人を超える定期購読者は、年間700ドル以上の購読料を支払っている」が「それを分かっていないらしい」と口走ってしまったのだ。

 マルゾラッティによれば、景気低迷の間も同紙は新聞の配達部数が5%伸び、キャンセルした人はわずか0・01%に止まっている。「これは、購読者が自分がいくら払っているか分かっていないという事実に大いに関係する」と、彼は語った。「クレジットカード(を使った自動購読更新)のおかげだ」

 これではニューヨーク・タイムズの編集幹部が自分たちの読者は利口ではないと言ったも同然だと、ブログは大騒ぎになっている。だがマルゾラッティが言うことはもっともだ。700ドルあれば64ギガバイトのiPadが買える。それでWi-Fiに接続すれば、同紙の全ページを無料で読める。さらに29ドル上乗せすれば、Wi-Fiと3Gでの接続が可能な32ギガバイトのiPadを手に入れることができる。ニューヨーク・タイムズのアプリは来年初めから有料になるが、購読料が700ドルになることは考えられない。それにiPadのスクリーンは同紙のウエブサイトを読むのに十分な大きさだから、iPad専用アプリはどのみち必要ないかもしれない。

値引きを実現する交渉マニュアル

 だが、たとえあなたが紙の新聞を読む習慣を捨てられないとしても、ニューヨーク・タイムズの購読に700ドル(正確には、私が4月に平日と日曜版の自宅配達に支払った769.60ドル)を払う必要はない。マルゾラッティは触れなかったが、769.60ドルの請求書を384.80ドルに下げるのは実際のところかなり簡単だ。ここに方法を紹介しよう。

1)まず1-800-698-4637に電話する(アメリカのみ)。音声ガイダンスが流れる。

2)4を押す。別の音声ガイダンスが流れる。

3)2を押す。これで担当者につながる。

4)「定期購読を止めたい」と言う。

5)担当者は理由を聞くので、「金がなくて支払いを続けられない」と言う。プライドが許さないなら、「高すぎるから」と言う。

6)担当者はマニュアル通りに次のようなことを言うだろう。「●●年あるいは××カ月もの間愛読してくれたあなたにやめてもらいたくない」。私の場合は、05年から購読していると言われたが、実際には1976年からだ。だがそこまで古い記録は入力されていないらしい。

7)担当者は割引を提案してくる。現在なら、26週間の間50%オフの半額だ。「何もかも今まで通りです」と担当者は保証し、「やめてもらいたくない」と再び言う。

8)「26週間の後はどうなるのか」と聞く。

9)担当者は「通常料金に戻る」と答え(マルゾラッティの言う「忠実な読者」へ戻るわけだ)、「ただその時期になったらまた電話をくれれば何かできるかもしれない」と言う。翻訳すれば、半額期間が終わる前に電話すれば、また何らかの割引を提供してくれるというわけだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:好調スタートの米年末商戦、水面下で消費揺

ワールド

トルコ、ロ・ウにエネインフラの安全確保要請 黒海で

ワールド

マクロン氏、中国主席と会談 地政学・貿易・環境で協

ワールド

トルコ、ロシア産ガス契約を1年延長 対米投資も検討
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 9
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中