最新記事

米企業

アメリカ人エリート「野心はダサい」

競争より協力を重視した甘やかし教育の弊害で、経営幹部の適任者が埋まらない人材不足に

2010年11月2日(火)15時31分
マッケイ・コッピンズ

 人材サービス会社のマンパワーが行った調査によれば、失業率は10%を超えているのに、アメリカ企業は良い経営幹部が採用できず困っているという。年末までには推定1000万人のベビーブーム世代が退職年齢に達することもあり、経済学者も危機感を募らせている。

 なぜ適任者がいないのか。スタンフォード大学経営大学院のジェフリー・フェファー教授は新著『成功する人としない人の違いは何か』で、「若い世代にとって『野心』は格好良くないものになった」と指摘する。

 今はビジネススクールの卒業生の多くが出世競争をダサいと感じている。21世紀に入って成人した世代はチームワーク重視で、競争するよりは協力するほうがいいと考えている。

 フェファーによれば、これは「甘やかし文化」の弊害だ。高校では成績優秀者を1人ではなく複数選び、野球では勝っても負けてもトロフィーをもらう。

 やる気のある人間にとっては逆にチャンスだ。フェファーの著書に出てくる若者は、会計事務所デロイトへの入社を決める前にCEOとの面談を要望。年1回の夕食も約束させた。

 職場で好かれはしないだろうが、この若者が幹部専用オフィスをゲットできる可能性は高い。

[2010年11月 3日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

訂正-(9日配信記事)ウクライナ戦争でロシア経済の

ワールド

米中外相が対面で初会談、「相違点の管理」で合意 協

ビジネス

ドイツ議会、540億ドル規模の企業減税可決 経済立

ワールド

ガザの援助拠点・支援隊列ルートで計798人殺害、国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 4
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中