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超深海油田に挑むブラジルの夢と危うさ

2010年10月28日(木)17時42分
エリック・ジャーマン

 ペトロブラスに言わせれば、同社はメキシコ湾の流出事故の一因となった欠陥部品より何世代も進化した噴出防止装置など、最新の安全技術を採用している。

「弊社は設備においても人員の訓練においても、非常に高い技術的基準を設けている」と、ペトロブラスは電子メールでこう主張した。「ペトロブラスの全ての海底掘削装置には検知システムが装備されており、緊急の際には即時に自動的に油田を封鎖することができる」

 だがこうした主張には批判的な向きもある。岩塩層下の油田は事故を起こしたメキシコ湾の油田よりもさらに深く、掘削も困難であり、同様の噴出事故の危険性はずっと高いと、ポスト・カーボン研究所のデービッド・ヒューズ研究員は言う。

「技術的に見てメキシコ湾の油田は岩塩層下の油田よりも扱いやすいものだった」とヒューズは言う。「99%の確率でうまくやれるのかもしれないが、常に1%の可能性は残っている」

 1%の代償の大きさはメキシコ湾で見たはずだが、石油が欲しい気持ちに勝てないのはルラだけではないだろう。

GlobalPost.com特約)

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