最新記事

原油流出

今こそBPでガソリンを入れよう

大赤字に転落したBPを消費者がボイコットしても、米メキシコ湾の原油除去には役立たない

2010年7月29日(木)15時22分
マシュー・デボード

「アメリカの敵」 看板を汚されたBPのガソリンスタンド(6月、ニューヨーク) Shannon Stapleton-Reuters

 国際石油資本の英BPが27日に発表した第2四半期(4−6月)決算は、とてもひどかった。170億ドル以上の赤字に転落したのだ。投資情報サイト「スマートマネー」が概要を載せている。


第2四半期はBP史上最悪の赤字になった。深海油田掘削施設ディープウオーター・ホライズンの原油流出事故に関連して、322億ドルの特別損失を計上した(既に発表済みの補償基金への拠出金200億ドルを含む)。

今回の決算は、BP株を保有する投資家が抱えるリスクを浮き彫りにした。そのリスクは今後膨らむ可能性がある。


 BPは、これまで取りざたされてこなかった資金繰りの問題に直面する可能性もあると、スマートマネーは警告する。そこで質問だ。アメリカで車を運転するドライバーたちは、メキシコ湾の惨事について感じていることをBPに知らしめるために、何ができるだろうか。

 1つは、BPのガソリンを買うことだ。もちろん、BPをボイコットして罰することはいつでもできる。だが同社にいま必要なのは、財務と運営上の健全性をなんとか維持して利益を上げること、そしてその利益を使って原油を除去することだ。

 消費者は他社のガソリンを買うことで意思を伝えることはできる。だが、それで良いことをした気分になれたとしても、生態系の助けにはならない。

 BPに罰を与える時間はたっぷりある。今はそのときではない。ここはぐっとこらえて、BPでガソリンを入れよう。メキシコ湾はあなたに感謝するはずだ。

The Big Money特約)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米国株式市場・午前=S&P・ナスダックが日中最高値

ビジネス

米アルファベット、時価総額が初の3兆ドル突破

ワールド

トランプ氏、四半期企業決算見直し要請 SECに半年

ワールド

米中閣僚協議、TikTok巡り枠組み合意 首脳が1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中