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ウィンドウズ7にビスタの呪い

2009年11月24日(火)14時58分

 ウィンドウズ・ビスタの呪いは存在するのだろうか。今年10月にウィンドウズ7(セブン)が発売されて以降のパソコンの売れ行きから判断すると、その可能性はある。

 普通ならマイクロソフトが新しいOS(基本ソフト)を出すと、ウィンドウズを搭載したパソコンの売れ行きは急増する。ところがウィンドウズ7の発売後1週間では、49%しか上がらなかった。この数字は06年にビスタが登場したときの68%をはるかに下回る。

 それはなぜか。ウィンドウズ7の口コミ評判はかなりよかったが、ビスタの欠点が改善されたことばかりが強調されたからだろう。画期的なソフトで、最高の働きをさせるには新しいパソコンが必要という評判には至らなかった。

 例えばウォールストリート・ジャーナルのウォルト・モスバーグはウィンドウズ7を絶賛し、ビスタ搭載のほぼすべてのパソコンで快適に使えると書いた。不況のせいで節約傾向にある消費者が、ビスタ発売時に買ったパソコンを使い続けようと思うのも無理はない。

 もっともパソコンメーカーはあまり心配する必要はない。ビスタが発売されたのは、パソコンがよく売れる1月だった。

 消費者はウィンドウズ7搭載のパソコンを買う前にじっくり調べてみたいはず。その期待に応えてマイクロソフトは直営店運営に乗り出し、10月にはアリゾナ州で1号店がオープン。さまざまな機能の付いた最新パソコンでウィンドウズ7を試せる。「店内にはクールなことが起きているという雰囲気がある」と、市場調査会社NPDグループのスティーブン・ベーカーは言う。これでビスタは呪いを封印し、安らかに眠れるだろう。

[2009年11月25日号掲載]

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