最新記事

【4】ケインズが正しい、とは限らない。

ウラ読み世界経済ゼミ

本誌特集「世界経済『超』入門」が
さらによくわかる基礎知識

2010.04.12

ニューストピックス

【4】ケインズが正しい、とは限らない。

2010年4月12日(月)12時11分

口ひげが似合うイギリス人経済学者ケインズは、このところ世界中で引っ張りだこ。といっても第二次大戦前に活躍したケインズが今も飛び回っているわけではない。彼の理論に基づく景気対策が各国で大人気なのだ。

 アメリカは今年2月、78兆円の景気刺激策を決めた。中国は昨年11月、58兆円の対策を発表。日本やヨーロッパ諸国も相次いで景気対策を打ち出している。これらは基本的にケインズ型の政策といわれている。

 ざっくり言うと、ケインズ政策とは政府がカネを使って景気を押し上げること。不景気になれば公共事業で道路や橋を造ったりするのが伝統的な例。民間の需要が落ち込んでいるときは、政府が需要をつくり出すしかないという考え方が根っこにある。

 一見分かりやすい話だが、だからといって正しいとは限らない。そもそもケインズ政策は一種の痛み止めであり、一時的な効果しかない。病人(経済)が痛み止めで一旦元気になっても、病気そのもの(経済全体の弱点)を治さなければまた倒れてしまう。

 それにカネの使い方によっては効果がない場合もある。ダメな企業を生き延びさせ、経済全体の効率を損なう恐れもある。政府の借金も増え、将来の増税につながることもある。ケインズ政策は近年、アメリカなどでは時代遅れと見なされてきた。

 とはいえ、今の世界は非常事態。激痛を止めないと病人が持たない。環境・エネルギーなど将来性のある分野にカネを使えば、長期的にも役立つかもしれない。ケインズ先生が地球を救う、となればいいのだが。

[2009年4月15日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏、ホルムズ海峡再開に高い壁

ビジネス

午後3時のドルは159円半ばへ小幅高、イラン情勢や

ワールド

イスラエルの刑務所空爆は戦争犯罪、イラン国内で抑圧

ワールド

自民がイラン情勢会議開催、エネルギー供給に懸念 艦
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 9
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中