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ブッシュ流、第2の人生の探し方

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2009.12.15

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ブッシュ流、第2の人生の探し方

「エピソード自体が面白い。『やっぱりおバカなブッシュ』『大統領にさえならなければお茶目で気さくなオジサンで終わり、害もなかったのに…』と、ちょっと笑えてほっこりする記事」(本誌・中村美鈴)

2009年12月15日(火)12時09分
ビル・ミヌタリオ(テキサス大学教授)

「残された置き土産に苦しむ後任者とは大違いで、悠々自適な隠居生活を送る前大統領の様子を読むと、もはや「残念」を通り越して笑えてくる。ブッシュ嫌いの人でも楽しめる一作」(本誌・小暮聡子)

「退任後のブッシュの、のんきと言えばのんき、哀れと言えば哀れな日々。奇妙なトホホ感の後に、ブッシュを選んだアメリカの因果、アメリカに選ばれたブッシュの因果をしっとりと感じさせる」(本誌・竹田圭吾)


歴史的な不支持率でホワイトハウスを去ったジョージ・W・ブッシュが、地元テキサスで送る「癒やしの日々」と気になる今後

 経済学の授業中、携帯電話に着信があった。テキサス州ダラス在住の大学生パトリック・ビブ(19)は画面に目を落とす。相手方の番号は非表示。大した用事じゃないな。ビブはそう判断し、電話に出なかった。授業後、残されたボイスメッセージをチェックすると、声の主はジョージ・W・ブッシュだった。

 その留守録で、つい最近までアメリカ合衆国大統領だった男は4度も「ありがとう」を言っていた。ビブが前大統領夫妻の「帰郷」歓迎のプラカードを作り、近隣の住民に1枚20ドルで売り歩いたと聞いて、大いに感動したということらしい。「この留守電で(感謝の思いが)十分に伝わるといいが」とも、ブッシュは言い添えていた。ビブは辛抱強く最後までメッセージを聞いてから電話を切り、次の授業に向かった。

 プラカードの販売を思い付いたのは、両親の住むプレストン・ホロウ地区にブッシュが引っ越してくると聞いたときだ。同地区はダラス北部に位置し、豪邸が立ち並ぶ超高級住宅街。ビブは売り上げの一部を自分の学費に充て、残りは近くの小学校に寄付した。

 次の授業中にも、また携帯が鳴った。今度は出なくちゃ、とビルは思った。「ごめん、大統領からの電話なんで」。ビブは友人にそう言って教室を出た。電話の主はブッシュだった。ブッシュは、さっきと同じ感謝の言葉を繰り返すのみ。それでもビブは我慢した。でも、ついにしびれを切らした。「大統領、申し訳ないですが、今は授業中なので」。するとブッシュは「分かった、授業に出るのが君の仕事だからな」と答えたとか。

 それから何週間かたった今も、ビブは前大統領との会話を思い出す。「僕はただ、彼に知らせてあげたかった。世論調査の結果がどうあれ、今もあなたを大事に思う人はたくさんいますよって」

忠実な支持者や子供とだけ交流

 例えば、近所に住むモリー・ビルビグ。00年の大統領選挙のとき、彼女の孫ジェイク(当時6歳)はブッシュ陣営に1ドルの寄付をしようとした。ブッシュはそのことを覚えていたに違いない、だからこそ14歳になったジェイクを、引っ越してきたばかりの新居に招いてくれたのだ----と、彼女は信じている。

 歩いてやって来たジェイクを、ブッシュは裏庭に招き入れ、「質問があったら何でもお聞き」と言った。その日、ジェイクは前大統領と1時間半を過ごした。程なくして、ジェイクはブッシュ家の警護スタッフと親しく言葉を交わすようになった。ある晩、祖母のモリーが夕食の時間ですよとジェイクを呼ぶと、少年は少し怒った顔で家に入ってきた。「もう少しでローラ・ブッシュの警護スタッフの暗号名を聞き出せるところだったのに」

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