最新記事

「酒屋万流」の面白さを知って

外国人の
ジャパンガイド

相撲の朝稽古から鉄道、
秘湯、お遍路まで
日本人の知らない日本の旅し方

2009.09.16

ニューストピックス

「酒屋万流」の面白さを知って

蔵元めぐりで日本酒の奥深い世界を体感

2009年9月16日(水)10時55分
ジョン・ゴントナー(日本酒ジャーナリスト)

歴史に浸る 白鶴酒造資料館は昔ながらの酒造りの場面を再現 白鶴酒造資料館

 酒造りの町は日本中にあるが、やはり兵庫の灘がいい。日本酒の3分の1が造られる地域で、蔵元めぐりを楽しめる。白鶴酒造資料館菊正宗酒造記念館沢の鶴資料館などで、日本酒の歴史に浸るのもいい。

 白鶴では、昔の酒蔵に等身大の人形を置き、甑(こしき)、釜場など酒造りの場面を再現。雰囲気たっぷりで、昔の様子がわかって面白い。ここで買った「酒造り歌」のCDはお気に入りの1枚。

 鹿児島を除けば、どの地方にも日本酒の蔵元があり、ほとんどの蔵は電話で頼めば見学させてくれるはず。実際に造っている人間が「これは釜場」「これは搾りたての酒」と教えてくれる。そんな人間的な出会いも楽しい。「酒屋万流」といって、蔵元によって造り方は微妙に違うから、見学するのはめちゃくちゃ面白いよ。

 東京なら、日本の酒情報館SAKE PLAZAがおすすめ。場所は便利だし、利き酒(有料)もできるうえ、全国の酒が購入できる。銘柄は入れ替わるけど、常時100種類くらい置いているようだ。

 アメリカでは最近、日本酒の輸入量が急増中。SAKEといえば燗(かん)で飲む、どの銘柄でもあまり違いのない飲み物というイメージが変わってきている。なのに、日本で消費量が減り続けているのは残念。水、米、気候、風土などが作用して地方ごと、酒蔵ごとに味の特徴が変わるのはワインと同じ。自分の好みを見つける楽しみをもっと多くの人に知ってもらいたいね。

<Profile>
John Gauntner ジョン・ゴントナー
アメリカ出身の日本酒ジャーナリスト。著書に『日本人も知らない日本酒の話』(小学館)などがある。
www.sake-world.com

[2003年12月 3日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米上院議員が戦争権限決議案、トランプ氏のイラン軍事

ビジネス

NTTドコモ、 CARTAHDにTOB 親会社の電

ビジネス

パリ航空ショー、一部イスラエル企業に閉鎖命令 イス

ワールド

アングル:欧州で増加する学校の銃乱射事件、「米国特
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中