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『ゴッドファーザー』

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2009.08.03

ニューストピックス

『ゴッドファーザー』

芸術になったマフィアの世界

2009年8月3日(月)13時07分

[英語版1972年3月13日号掲載]

 マフィアの老ボス、ドン・コルレオーネは父親にして殺人者、心優しい死の宣告者、愛情に満ちた怪物。この神秘的な人物を、マーロン・ブランドがスクリーンに生き生きと浮かび上がらせる。20年間、作品に恵まれなかった彼はこれでトップ俳優の座に返り咲いた。

 ギャング版『風と共に去りぬ』であるこの作品は、派手な題材を芸術的かつ知的に表現。ドンのもつ相反するキャラクターがそのまま作品の骨組みになっている。無垢と堕落、日常の細やかな描写シーンと冷酷な殺人シーンの鮮やかな対比は、ありきたりのギャング映画とは一線を画すものだ。

 人間は無垢な存在であること。だが経験によって変化してしまうこと。フランシス・コッポラ監督が描こうとしたこの2つのテーマが見事に表現されている場面がある。1つは隠居したドンが、オレンジの皮を口に詰め込んで3歳の孫を驚かせるシーン。そして最後の殺戮シーンだ。赤ん坊を抱く、ドンの息子マイケル。飛び散る血。祈りを唱えるマイケル。再び飛び散る血──。

 これほど巧みな演出、緊張感と迫力にあふれた作品は例がない。サスペンス、家族愛、アメリカンドリームをじっくり堪能してほしい。

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