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ユダヤ至上主義がイスラエルを崩壊させる
イスラエル軍に逮捕され『英雄』となった入植者のポスター(ヨルダン川西岸地区、2024年6月6日撮影) TAICHI SOGA
<イランやシリアへの相次ぐ攻撃の裏で、イスラエル国内では急進的なユダヤ人入植者たちによる暴力行為が拡大し、社会の分断を招いている>
イスラエルとパレスチナの共存を目指したオスロ合意の立役者で、ノーベル平和賞を受賞したイスラエルのイツハク・ラビン首相(当時)が公衆の面前で極右の過激思想者に殺害されてから今年で30年。パレスチナ和平は風前の灯火となり、イスラエルでは過激派の蛮行に歯止めが利かなくなっている。
野放図な蛮行を象徴する事件が起きたのは今年6月末。ヨルダン川西岸で極右の過激派のユダヤ人入植者が、取り締まりに当たるイスラエル軍の拠点を襲撃したのだ。投石に車両破壊、さらには治安維持機材などに放火した。こうした過激派入植者による暴力行為は近年、悪化の一途をたどっている。
2023年には過激派入植者が、2人の入植者が襲撃されて死亡したことへの報復として、パレスチナ住民が寝静まろうとしていた西岸北部の村フワラを焼き払った。
その後も住民に対する襲撃が断続的に行われ、イスラエルの治安機関も「テロ」として首謀者やリーダー格を拘束したが、イスラエル軍にこれほど明確に矛先が向いた事件は類を見ない。
23年10月のイスラム組織ハマスによる攻撃を口実に、過激派入植者たちはヨルダン川西岸でもパレスチナ人に対する暴力行為を強めた。軍は一応そうした過激派を取り締まるが、その結果として、捕まった入植者たちを「英雄」としてたたえるポスターが西岸のあちこちに現れた。
筆者は英雄とされた入植者に話を聞いたが、どんな暴力行為をしても「自分たちは逮捕されるべきじゃない」と、民主主義国家において全く受け入れられない考えを持っていた。まさにユダヤ人至上主義だ。
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