コラム

イスラエルを動かす「超正統派」とは何者か?...ネタニヤフの政治的保身と分断する社会

2025年06月23日(月)19時20分
超正統派

超正統派は人口増で影響力と存在感を増している(2024年6月) RONEN ZVULUNーREUTERS

<「ミスター・イラン」こと、ネタニヤフ首相が政権維持のために頼る相手と、イスラエル社会が直面する深い分断について>

6月13日、イスラエルはアメリカの制止を振り切ってイランの核施設に先制攻撃を仕掛けた。

イランの脅威をあおることで国民の支持を取り付け、「ミスター・イラン」と呼ばれてきたネタニヤフ首相の足元はその直前、大きく揺らいでいた。

イラン攻撃前日の12日、ネタニヤフ政権への事実上の不信任決議となる解散法案がイスラエル議会で否決された。


 

この採決の行方を左右したのは与党連立の一角を担い、イスラエル政治に大きな影響力を持つユダヤ教超正統派の政党である。

イスラエルは国民皆兵制だが、超正統派の徴兵免除について最高裁は昨年、違憲と判断。しかし、連立政権の一角を占めるユダヤ教超正統派政党は徴兵免除の継続を求め、政権に圧力をかけてきた。

今回、ネタニヤフが議会解散を免れたのも、ユダヤ教超正統派との政治的妥協の結果だ。イスラエルの政治さえ揺さぶるユダヤ教超正統派とは、いったい何者なのか?

プロフィール

曽我太一

ジャーナリスト。東京外国語大学大学院修了後、NHK入局。札幌放送局などを経て、報道局国際部で移民・難民政策、欧州情勢などを担当し、2020年からエルサレム支局長として和平問題やテック業界を取材。ロシア・ウクライナ戦争では現地入りした。2023年末よりフリーランスに。中東を拠点に取材活動を行なっている。

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