最新記事
イスラエル制裁

ネタニヤフ、アメリカとも対決姿勢──ユダヤ教超正統派大隊「ネツァ・イェフダ」制裁で

Netanyahu's Outraged Response After Report of Pending US Sanctions on IDF

2024年4月22日(月)15時49分
マウラ・ズーリック

創設25周年を迎えた迎えたネツァ・イェフダのカンファレンス(4月)  All Israel News/YouTube

<パレスチナ人の人道状況に配慮せよとイスラエルに言い続けてきたアメリカ政府が、ついに、イスラエル国防軍のなかでも最も暴力的といわれる部隊に制裁を科す意向と伝えられた。イスラエルのネタニヤフ首相は激怒している>

アメリカがイスラエル国防軍(IDF)の一部隊に対する制裁を予定していると報じられたことを受け、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、アメリカの姿勢を非難する声明を発表した。

【動画】創設25周年を迎えたネツァ・イェフダ

イスラエル国防軍によるガザ地区への攻撃で民間人の死者が増加し、世界中で抗議行動が起きている。ジョー・バイデン大統領をはじめアメリカの高官たちも、イスラエルに対する批判を強めている。

 

ヨルダン川西岸地区で活動するイスラエル軍部隊がパレスチナ人に人権侵害行為を行った可能性があるとして、米国務省がこの部隊を米軍の支援対象から外すよう勧告したことも報じられている。4月19日にイタリアで開かれた記者会見で、この件について質問されたアントニー・ブリンケン国務長官は、ブリンケンは報道を即座には認めなかったが、結果は「近いうちに」出ると述べた。

アメリカと長年の同盟国イスラエルとの関係に、摩擦が生じている。さらに、ニュースサイト、アクシオスによる20日の報道によると、ブリンケンは数日以内に人権侵害の疑いでイスラエル国防軍の超正統派ユダヤ教徒の集まりである「ネツァ・イェフダ」大隊に対する制裁を発表する見込みだという。

「制裁は不条理の極み」

アクシオスの記事が発表された直後、ネタニヤフはX(旧ツイッター)への投稿で、イスラエル国防軍に制裁を科す動きを非難した。

「イスラエル国防軍に制裁を課してはならない。ここ数週間、私はアメリカ政府高官との対話を含め、イスラエル国民への制裁発動に反対してきた。わが国の兵士がテロの怪物と戦っているときに、イスラエル国防軍の一部に制裁を科そうとするなど、不条理の極みであり、道徳的な堕落を意味する。私が率いる政府は、このような動きに対してあらゆる手段で抵抗する」とネタニヤフは書いている。

イスラエルの戦時内閣の閣僚で、長年野党を率いてきたベニー・ガンツも、20日夕方、Xに投稿し、この部隊に対する制裁の可能性を批判した。

ガンツは 、ネツァ・イェフダ大隊を「イスラエル国防軍の不可分の一部」とし、この部隊は軍法と国際法に従うと述べた。

「イスラエルには、国防軍の命令や行動規範に対する違反や逸脱の主張を綿密に評価する強力で独立した司法制度がある」と、ガンツは投稿で主張した。「アメリカの友人には非常に感謝しているが、国防軍の部隊とその兵士に制裁を科すという決定は危険な前例となり、戦争の最中に、共通の敵に誤ったメッセージを伝えることになる。私はこの決定を覆すために行動するつもりだ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

バフェット氏のAI生成偽動画、米バークシャーが警告

ワールド

米上院、政府再開に向け法案前進へ採決 40日間の閉

ワールド

米国、国連の人権審査会合を異例の欠席

ビジネス

米EVリビアンCEOにも巨額報酬、最大46億ドルで
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 9
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 10
    「豊尻」施術を無資格で行っていた「お尻レディ」に1…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中