コラム

イスラエルにどう向き合うべきか?...日本外交に今こそ問われる覚悟

2025年04月22日(火)08時35分
ネタニヤフと安倍首相(2020年)

関係強化は国益にかなうのか(ネタニヤフと安倍首相、2020年) KOBI GIDEONーGPO HANDOUTーLATIN AMERICA NEWS AGENCYーREUTERS

<エスカレートするイスラエルに対して相変わらず沈黙する国際社会。欧米諸国とは異なる背景を持つからこそ、やるべきことについて>

3月下旬、イスラエル軍による攻撃が続くパレスチナ自治区ガザで、パレスチナ人の救急隊員ら15人がイスラエル軍に一斉射撃を受けて殺害された。

イスラエルとハマスの戦争では、これまで多数の人道支援関係者が犠牲になっているが、今回は明らかに人道支援関係者と認識できた状況での狙撃だった。さらに遺体を地中に埋め、事実とは異なる説明をして組織的に隠蔽しようとした可能性も高く、これまでにないほど悪質だ。


 

映像とニューヨーク・タイムズによる調査報道がなければ、闇に葬られた可能性もあり、謝罪したところで許されない悲惨な出来事であった(編集部注:4月20日、パレスチナ自治区ガザで救急医療隊員ら15人が銃撃されて死亡した事件に関して、イスラエル軍は「いくつかの職務上の失敗」を正式に認めた)。

それから間もない4月上旬、そのイスラエル軍の責任者でもあるネタニヤフ首相はハンガリーを訪問。ハンガリーは国際刑事裁判所(ICC)加盟国であるにもかかわらず、戦争犯罪の疑いで逮捕状が出されているネタニヤフ首相を歓待しただけでなく、ICC脱退を表明したことでも話題となった。

ドイツのベアボック外相は「国際法にとって最悪の日だ。ヨーロッパにおいては何ぴとたりとも法の上に立つ者はいない」とハンガリーの対応を非難したが、ショルツ首相は「ネタニヤフ首相がドイツで逮捕されるとは思わない」と述べたり、メルツ次期首相に至っては、ネタニヤフのベルリン訪問への意欲を見せたりするなど、チグハグな姿勢を見せている。

もしイスラエルの首相がICC加盟国でも逮捕を免れるのであれば、ロシアのプーチン大統領も大手を振ってヨーロッパを旅することができる。ウクライナを軍事侵攻したロシアを非難するために、グローバルサウス諸国に「法による秩序」を訴えてきたのは、ほかならぬヨーロッパ諸国であるにもかかわらずだ。

プロフィール

曽我太一

ジャーナリスト。東京外国語大学大学院修了後、NHK入局。札幌放送局などを経て、報道局国際部で移民・難民政策、欧州情勢などを担当し、2020年からエルサレム支局長として和平問題やテック業界を取材。ロシア・ウクライナ戦争では現地入りした。2023年末よりフリーランスに。中東を拠点に取材活動を行なっている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

Temuの中国PDD、第4四半期売上高・利益が予想

ワールド

米メタとグーグルに損害賠償評決、未成年者SNS依存

ワールド

中東紛争長期化は成長に打撃、インフレ期待押し上げ 

ワールド

EXCLUSIVE-米、ドンバス全域割譲を和平条件
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 2
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「日本産ミュージカルの夢」に賭ける理由【独占インタビュー】
  • 3
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 4
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 5
    「有事の金」が下がる逆説 イラン戦争で市場に何が…
  • 6
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 7
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 8
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 9
    地上侵攻もありえる...イラン戦争が今後たどり得る「…
  • 10
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 3
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 9
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story