コラム

ツイッター「永久追放」された米議員の「陰謀論」、どれだけひどかった?(パックン)

2022年01月25日(火)18時06分
ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)
マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(風刺画)

©2022 ROGERS-ANDREWS McMEEL SYNDICATION

<「コロナは危険じゃない」「ワクチンで大勢死亡」などと発信した議員は、これまでにもさらに驚くべき発言を連発していた。仰天の発言録を紹介>

共和党の有名な政治家がツイッターアカウントの永久凍結を食らったが、そんなツイッターの名前の由来はご存じだろうか? 「鳥の鳴き声」という意味のtwitter(ツイッター)から付けられたそうだ。ロゴマークも鳥だし、「ツイートする」も、鳴き声の擬音語tweet由来だ。

風刺画で鳥に化けているのはその有名政治家、MTGことマージョリー・テイラー・グリーン下院議員。だが、彼女の鳴き声はtweetではなく、Quckooだ。これは陰謀論「Qアノン」とcuckoo(カッコウの鳴き声)を組み合わせた造語。カッコウは昔からバカな人、狂人の例えに使われる。連邦議員をそんな鳥に例えて失礼じゃないかって? では、グリーンの過去の発言を見て、失礼かどうかを検証しよう!

■58人が射殺されたラスベガスの乱射事件は銃規制賛成派の自作自演のでっち上げだと示唆した。

■84人が亡くなったカリフォルニア州の山火事はロスチャイルド家と知事が仕組んだと示唆した。放火の手段はもちろん宇宙からのレーザー! ......100円ライターでよくない?

■国防総省本庁舎のペンタゴンに旅客機が衝突した9.11テロ攻撃の存在を「証拠は見当たらない」と否定した。確かに、無数の映像や画像、目撃情報、現場の建物、機体、184人の遺体ぐらいしか証拠はなかったね。

■ヒラリー・クリントンは複数のジャーナリストやジョン・F・ケネディJr.の死に責任がある殺人鬼だとほのめかした。

■クリントンなど民主党の重鎮が秘密結社で児童買春や人肉食をしているとするQアノンの主張に賛同し、「民主党は児童性愛、悪魔崇拝などに関わっている!」という記事を執筆した。

風刺画のMTGは鳩時計(英語でcuckoo clock)の仕掛けで、共和党の頭の中から飛び出ている。が、彼女の発言を疑問視する共和党員もいる。彼らがクリントンが悪魔を崇拝しているなんて考えられない。クリントン本人が悪魔だと思っているからね......。

最後は、ツイッターから追放された理由となったものだ。

■「太っていなければ新型コロナウイルスは危険じゃない」や「ワクチン接種で大勢が死んでいる」などの誤報を発信した。

では、検証結果。狂気的な発言の上、公衆衛生対策を妨害する危険な主張を重ねるMTGをカッコウに例えるのは失礼か? はい。失礼だ! カッコウにね。

ポイント

WHO NEEDS TWITTER?
ツイッターなんか誰が必要?

GOP
米共和党の愛称である Grand Old Party(古き良き党)を略したもの。ゾウは党のシンボル。

プロフィール

パックンの風刺画コラム

<パックン(パトリック・ハーラン)>
1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『大統領の演説』(角川新書)。

パックン所属事務所公式サイト

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

クルスク州に少数のウクライナ兵なお潜伏、奪還表明後

ビジネス

ノルウェーのエクイノール、米風力事業中止で数十億ド

ワールド

北朝鮮、ロシア国境の架橋着工を評価 経済関係強化へ

ビジネス

トランプ氏、米経済縮小は「バイデン氏のせい」 関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story