コラム

バージニアの止まらない顔面「黒塗り」スキャンダル(パックン)

2019年02月21日(木)17時00分
ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)

Virginia Blackface Scandal / (c)2019 ROGERS─ANDREWS McMEEL SYNDICATION

<バージニア州で知事らトップに相次いで発覚した黒人差別的な顔面「黒塗り」行為の過去>

黒塗り。1年ちょっと前に『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の特別番組「絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時」で浜田雅功さんがエディ・マーフィーに扮して話題になったね。白人が顔を黒く塗り、ばかで怠け者、非道徳的で淫乱な黒人を演じて笑いを取る大衆演芸「ミンストレル・ショー」が原点で、その芸風が黒人差別を強化し、現在の不平等な社会につながったとされる。そう考えると、あれはまさに「笑ってはいけない」演出だった。

もちろん、制作側や浜田さんにはそんな意識も知識も、差別的な狙いも全くなかったので大きなダメージにならなかった。しかしアメリカ人がやると、そう簡単には許されない。

いまバージニア州は黒塗り問題で大騒ぎだ。まず、風刺画にあるような白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)の格好をした男性と黒塗り男性のツーショット写真が発覚。載っていたのはラルフ・ノーサム州知事の大学時代のイヤーブック(学生アルバム)の彼のページだ。次は州の司法長官マーク・ヘリング。彼も大学時代にラッパーに憧れ、黒塗りをしたことを認めた。州の上院院内総務トミー・ノーメントも大学時代、黒塗りや差別的な文言が多いイヤーブックの編集委員だった。

州の権力者トップ4人中3人が黒塗り問題に巻き込まれた。ちなみに、残り1人の副知事には黒塗りの過去はない。黒人だし。でも同時期に性的暴力の疑惑が浮上した。今や、笑いを取りたければバージニアの政治家に扮すればいいだろう。

風刺画が指摘するとおり、差別行為への対応は政党によって大きく異なる。民主党なら、たとえ自党の政治家でも批判し、辞任を呼び掛ける。バージニア州知事に対してもそうだ。

一方、共和党は......? 例えば、ドナルド・トランプ大統領は過去に、持ちビルの部屋を黒人に貸さず司法省に訴えられた。ホテルの黒人会計士について「俺の金を黒人に触らせるな......黒人は怠け者だ」と言った。大統領になってからも、ハイチやアフリカ諸国を「クソだめの国々」とけなしながら、白人至上主義デモの参加者にも「いい人がいた」と言った。そんな大統領の共和党内の支持率は約90%。黒塗りはさておき、この人と共和党は今もアメリカの顔に泥を塗っている。

【ポイント】
WON'T THIS KIND OF OVERT RACISM HURT MY FUTURE POLITICAL AMBITIONS?

こういう露骨な人種差別は、私の将来の政治的野心に害を与えないだろうか?

NOT IF YOU WANT TO BE A REPUBLICAN PRESIDENT!
君が共和党の大統領になりたいなら、問題ない!

<本誌2019年02月26日号掲載>

※2019年2月26日号(2月19日発売)は「沖縄ラプソディ/Okinawan Rhapsody」特集。基地をめぐる県民投票を前に、この島に生きる人たちの息遣いとささやきに耳をすませる――。ノンフィクションライターの石戸諭氏が15ページの長編ルポを寄稿。沖縄で聴こえてきたのは、自由で多層な狂詩曲だった。


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プロフィール

パックンの風刺画コラム

<パックン(パトリック・ハーラン)>
1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『大統領の演説』(角川新書)。

パックン所属事務所公式サイト

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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