コラム

シャガールのように、iPhoneでイランを撮る

2015年11月10日(火)16時15分

From Ako Salemi @f64s125 - Instagram

 現在のイランは、写真の質、ボリュウムともに世界で最も勢いのある国の一つだ。そのイランの新しい写真時代を牽引する写真家の一人が、アコ・サレミである。

 サレミは長年、テヘランの経済新聞でスタッフ写真家・フォトエディターとして働いている。自らの写真、あるいはインスタグラムでのそれは、ドキュメンタリーとファインアートを融合させたストリート・フォトグラフィーと言っていい。4、5年ほど前から、新聞の仕事以外は実質上、iPhoneのみを使い、彼がベースとしているテヘランを中心に、イランの辺境地帯やイラク、アフガニスタンなどの写真を精力的に発表してきた。

 作風はどこか幻想的だ。また、白黒、カラーを問わず、鳥や子供たちが頻繁に彼の作品に表れるためか、見る者に子供の世界に飛び込んでしまったかのような錯覚を与える。一種、ロシア生まれのフランスの画家、マルク・シャガールの世界に似ているかもしれない。シャガールが、幻想的な夢の世界だけでなく、死の世界も代表作として描いたように、サレミの写真も非常にダークな匂いを併せもっている。しかし、決して絶望的ではない。

 こうしたサレミの持つ、複雑で相反した魅力は、彼自身が述べるように生い立ちから来ているのかもしれない。父親は生まれる前に亡くなり、母親とは、彼が5歳の時に彼女が再婚して以来、一度しか会ったことがない。

Man and the Bird, captured for @burndiary #tehran

Ako Salemiさん(@f64s125)が投稿した写真 -

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

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国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

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