- HOME
- コラム
- プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
- 安倍政権を歴代最長にした政治的要因と、その限界
安倍政権を歴代最長にした政治的要因と、その限界
2つ目は、安倍政権が保守イデオロギー勢力を「取り込んでいる」ということです。これは多分、政権が長期化している要因の核になる問題だと思います。例えば、第一次政権の際にはこの構造は比較的単純でした。当時の安倍政権は、本気で憲法改正へ突っ走ろうとし、また歴史認識問題では米ブッシュ政権から「二枚舌」を指摘されて不信感を買うなど散々な結果となりました。
ところが、第二次政権になってからは様子が違います。「意図せざる効果」なのかもしれませんが、保守イデオロギー勢力を味方につけることで、リベラルな政策を安心して進めることができているのです。
例えば、中国・ロシアとの関係改善、入管法の改正、新元号の前倒し発表、TPP11など自由貿易の推進、児童手当の拡充、オバマ米大統領との相互献花外交、靖国参拝の自制などです。もしかしたら女性宮家創設もやるかもしれません。こうした政策については、仮に中道左派系の政権が進めようと思えば、保守派が反対して立ち往生する危険がありますが、安倍政権の場合は「保守派を取り込んでいる」ことで比較的スムーズに進めることが可能になっています。
実態としては中道政権にシフトしているわけですが、それでも第一次の時から「祖父岸信介の名誉回復にこだわり、右派論客と交友を続け、戦後レジーム否定を口にする」ことで、安倍首相本人に関しては保守派イデオローグという印象を強く持ち、それゆえに頑固なまでに敵視する左派の固定層があります。
これも政治的には興味深いのですが、政策的には中道にシフトしても、左派が激しい敵視をやめないので、イメージ的には保守派は「やはり安倍政権は保守だ」と安心してくれる、そのために中道政策を強い抵抗なく進めることが可能になっている、そんなメカニズムも機能しています。ある種の偶然のなせるわざです。
3つ目は、産業構造改革への消極姿勢です。保守派に支えられつつ、中道政策を実施して長期化している政権ですが、結果的に保守派が支えていることから、構造改革を強く推進することはできていません。アベノミクスの「第3の矢」については、第二次政権になって7年かかっても成果が出ていない、これは支持基盤を考えるとやはり不可能なのだと思います。
そして、これが安倍政権の最大の問題であって、円安による「円建ての株価高騰」という「第1の矢」の効果がそろそろ賞味期限となる中では、最終的に政権の限界を示しているとも言えるでしょう。
天才的なヒラメキとともに躍動する姿を見せ続けた......長嶋茂雄の愛された時代 2025.06.04
混乱回避に成功した米ニューアーク空港と航空行政 2025.05.28
「外国免許切替」制度の厳格化は必要、だが事故防止はまた別の問題 2025.05.21
分裂深める米民主党に、国政奪還の可能性は見えてこない 2025.05.14
45年前の「ハプニング解散」当時と現在の政治状況を比較すると 2025.04.30
迷惑系外国人インフルエンサー、その根底にある見過ごせない人種差別 2025.04.23
-
外資系顧客向けシステムエンジニア/システムインテグレータ・ソフトハウス
株式会社リファルケ
- 東京都
- 年収450万円~1,260万円
- 正社員
-
事業開発責任者/外資系決済代行サービスの新規開拓・営業推進/土日祝休み
Payment Options株式会社
- 東京都
- 年収450万円~1,000万円
- 正社員
-
「アドミニストレーター」外資系高級時計ブランドの管理部
パルミジャーニ・フルリエ・ディストリビューション・ジャパン株式会社
- 東京都
- 年収450万円~550万円
- 正社員
-
歯科衛生士/若手の外資企業!歯科用CTのインストラクター/未経験OK
株式会社バテックジャパン
- 東京都
- 年収420万円~500万円
- 正社員