コラム

誰も驚かない「ヒラリー出馬」、その勝算は?

2015年04月14日(火)11時09分

 第2のファクターは国内情勢、とりわけ景気の状態です。好況が曲がりなりにも続くようなら、オバマの延長でヒラリーに有利になります。格差是正などの問題で、オバマより「やや左」であり、したがって「少しだけ余計に大きな政府論」であるヒラリー政権が誕生する条件は「好況」です。

 反対に不況になれば、歳出への監視が厳しくなり、共和党候補が有利になるでしょう。特に、経済に「大乱」が起きるようですと、小さな政府論者であるティーパーティー系の、ランド・ポール、スコット・ウォーカー、テッド・クルーズなどの勢いが増すと考えられます。また不況になれば、若年層の不満が増大し、若年票の投票率が増加します。これもヒラリーには不利になるでしょう。

 またアメリカが再び不況に陥るようですと、不況脱出のためには「中国頼みの経済」という話が出てきて、共和党の若い世代による「対中国の関係改善」という流れが出てくる可能性もあります。その際には、中国との「対決姿勢」に固執するヒラリーには不利になるでしょう。このシナリオは日本への影響が大きいだけに、要注意です。中国との電撃和解をやったニクソンが共和党だったことは忘れてはなりません。

 今のヒラリーは「史上初の女性候補」という新鮮味は持ち合わせていません。人道や人権に敏感だが、軍事力の使用も躊躇しない「リベラル・ホーク(リベラルなタカ派)」で、オバマよりやや左の「大きな政府論者」という立ち位置の経験豊富なベテラン政治家として、自分より若い世代の分厚い有権者層の審判を受けることになるわけです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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