コラム

香港の選挙改革とニセの民主主義

2015年06月22日(月)12時08分

pepper20150622.jpg 「普通選挙」実現をめぐる香港行政長官選挙の制度改革法案は今月18日、香港議会で実に劇的に否決された。中国共産党がコントロールする「建制派」は、法が定める投票者数に足りないことで流会に持ち込もうとしたが、思いがけず彼らは数学が苦手だったらしい。33人が議場を離れたが一部に連絡を忘れ、議場に残った同派議員を加えることで流会は回避された。共産党の陰謀は実現せず、その失敗ぶりは相当みっともなかった。

 正常な国家では、1つの法案が通過しなければ失敗した方は内容を検討し直し、再び社会を説得する準備をするものだ。だが共産党当局の態度はとても奇妙だった。共産党系メディアはまさに怒り狂ったという形容がぴったり様子で、みっともない言葉を使いながら反対派の「独断専行」を指弾した。彼らを「永遠の罪人」とののしり、反対派が香港の民主主義の発展を阻害した全責任を負う、とまで非難した。

 この手の文化大革命方式の激しい言葉の背後にあるロジックは荒唐無稽だ。もともと共産党が言う民主主義とは賛成しかできず反対できない、そして中央政府に完全に服従する「民主主義」。反対派の議員は民主主義を阻害する敵にされてしまった。

 私はここ数年、共産党系のネットメディアが行ってきたニセの世論調査のことを思い出した。彼らは西側国家の世論調査のやり方を学びたいが、一方で自信もない。多くの調査が「反対」の選択肢を設置したが、結果は往々にして彼らの望むものにならないので、すぐに閉鎖を余儀なくされる。そして、彼らの世論調査の選択肢はかなり笑えるものになった。選べるのは「非常に賛成」「とても賛成」「賛成」だけで、反対する権利が剥奪されたのだ。

 この漫画に描いた賛成しかできない3つの投票箱は、日本の駅で見かける分別ゴミ箱にそっくりだ。賛成しかできず、反対できない「民主主義」はゴミと同じだ――私はそう思う。

<次ページに中国語原文>

プロフィール

辣椒(ラージャオ、王立銘)

風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

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