プレスリリース

~「〇〇禁止」から「〇〇で楽しもう」へ 観光客の一極集中から多極分散へと行動変容を促す、「前向き発想」オーバーツーリズム対策動画を公開

2025年07月31日(木)15時45分
高知県の仁淀川町観光協会は、「仁淀ブルー」で知られる観光地のオーバーツーリズム対策として、「禁止」という表現を一切用いず、まだ知られていない町の魅力を伝えることで観光客の多極分散を促す、啓発動画を2025年7月25日に公開しました。
本動画は、観光客が集中する特定の場所・季節・楽しみ方以外の選択肢をポジティブに提案し、交通渋滞やゴミ問題といった課題の緩和を目指すものです。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/444742/LL_img_444742_1.jpg
安居渓谷「水晶淵」

1. 仁淀川町オーバーツーリズムの現状
「仁淀ブルー」で知られる清流、仁淀川を擁する仁淀川町には、毎年大勢の観光客が青い川を楽しむために来町されています。
一方で、桜が咲く数日間、夏休み、秋の紅葉といった限られた期間の観光シーズンにのみ観光客が一気に押し寄せ、それ以外の時期はまち全体が静まり返るという状況が繰り返されています。
この観光客の集中、いわゆる「オーバーツーリズム」によって、景勝地周辺に駐車ができない、道路の深刻な渋滞、渋滞の排気ガスによる局地的な環境悪化、人々で溢れかえった川での人的トラブル、キャンプの後始末不足によるゴミの大量放置などが発生し、いま大きな問題となっています。


2. オーバーツーリズム、3つの背景要因
こうした事態は、せっかく仁淀ブルーを楽しみにお越し下さった観光客の方々にとっても、仁淀川町住民にとっても、決して望ましいことではありません。
わたしたち観光協会まちゆうで会議では、この問題を解決すべき重要課題として検討を重ねた結果、オーバーツーリズムを引き起こしている背景は次の3点にあると考えました。

(1) 場所の集中・偏り
桜の季節の「ひょうたん桜」、仁淀ブルーで名高い「水晶淵」、紅葉の「中津渓谷」「安居渓谷」など、限られた場所に観光客が集中する。

(2) 季節の集中・偏り
桜、川、紅葉を楽しめる限られた季節と期間に観光客が集中する。

(3) 楽しみ方の集中・偏り
川遊び、桜や紅葉を観て楽しむなど、一般的な観光地の楽しみ方に範囲が限られてしまっている。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/444742/LL_img_444742_2.jpg
ひょうたん桜

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/444742/LL_img_444742_3.jpg
中津渓谷「雨竜の滝」

この3つの偏り・集中を緩和するためには、まず何をすべきか。
私たちは、観光客の方々にとってまだ知られていない「場所」「季節」「楽しみ方」を発信することで、観光客の方々の行動を多極分散に促し、こうした一極集中を緩和できないかと考えました。


3. オーバーツーリズム啓発動画制作、そのねらいと目的
その手段としてまず採用したのが「オーバーツーリズム啓発動画」の制作です。
私たち仁淀川町民が自信を持ってお薦めする、知られざる「場所」「季節」「楽しみ方」を発信し、町内の多くの場所で、季節を問わず、多様な楽しみ方ができる「新たな仁淀川観光」を提案する内容としています。
このことにより、観光客の方々が来町する場所・季節・楽しみ方を「一極集中から多極分散へ」と行動変容を促すことにより、通年での来町促進とオーバーツーリズムの緩和を動画制作のねらいとしています


4. オーバーツーリズム啓発動画、3つの特徴
制作した動画の特徴は、以下の3点です。

(1) ネガティブな「禁止」ではなく、ポジティブなメッセージで発信
童話「北風と太陽」で語られるように、人は「禁止」のようなネガティブメッセージでは行動は変わりません。
私たちは、「北風」ではなく「太陽」のような発信を目指し、「ここに行くとこんな珍しいものが見られるよ」「この季節ならではのこんな体験ができるよ」「こんな楽しみ方もあっていいのでは?」といったポジティブなメッセージで発信。一貫して行動や体験してみたくなるような、前向きな表現に努めました。

(2) 仁淀川町ならではの「場所」「季節」「楽しみ方」を組み合わせた体験の提案
日本全国各地には、素晴らしい桜・紅葉・水辺の景観が数多くあります。そうしたよくある観光地と比べて仁淀川町を選んでいただけるような、町民だけが享受している当地ならではの最高な「場所」「季節」「楽しみ方」を取り上げ、それらを組み合わせてお伝えしています。

(3) 安全・安心・快適にお楽しみいただくための情報も充実
仁淀川町は水も美しく動植物も多様で自然豊かなまちですが、一方で都市部とは全く異なる自然の厳しさに晒される場所でもあります。また、都市部では当たり前のように存在している都市機能とは異なるルールで機能しているのも、過疎のまちの特徴。
今回の動画では、仁淀川町来町前のちょっとした準備事項や滞在中のお願い事項などを盛り込み、仁淀川町観光を安心・安全・快適にお楽しみいただける情報を発信しています。


5.オーバーツーリズム動画の構成
動画の主な構成は以下の通りです。

(1) 仁淀ブルーだけじゃない仁淀川町の楽しみ方
●冬の澄み切った仁淀ブルーと静寂の川辺
●星空を眺め、霧に包まれた山里を散策する「時間を味わう」旅
●苔むす渓谷や春日神社の水辺やまだ知られていない名所
●歴史を感じる棚田、沈下橋、地元に根づく神楽や太鼓踊り

(2) 旅の質を高める、ささやかなご協力のお願い
●道路が狭く駐車場も限られるため、譲り合いのご配慮を
●ライフジャケットや虫除けなど、自然環境に応じた装備を
●圏外エリアもありますが、それも含めて"旅の味わい"としてお楽しみください
●町内はクレジットカード決済が出来ないお店が多いため現金をご用意いただけますと助かります


一極集中から多極分散へ。仁淀川町の新たな魅力、「場所・季節・楽しみ方」を伝えるオーバーツーリズム対策動画、是非ともご視聴いただければ幸いです。


動画視聴はこちらから: https://www.niyodogawa.tv/special/special-21010/


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
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