Picture Power

【写真特集】コロナ失策がブラジルの最貧層を襲う

BRAZIL IN CRISIS

Photographs by PHOTOGRAPHS BY LALO DE ALMEIDA

2020年10月17日(土)15時30分

ブラジル南東部に位置する最大都市サンパウロで、労働条件の改善を求めて抗議デモを行うデリバリーアプリの配達員。コロナ禍に伴う経済危機で失業した人々にとって、配達作業は数少ない選択肢の1つ

<最大都市サンパウロのファベーラ(スラム街)では、病院に患者があふれ、医療品の不足が深刻化している>

新型コロナウイルスの新たなホットスポットとなった南米の国々の中でも、ブラジルの感染拡大は特に顕著だ。9月9日時点で感染者416万人、死者12万7500人と、アメリカに次ぐ世界2~3位の多さで推移している。

無償の医療サービス「統一医療保健システム(SUS)」を持ち、地方政府の裁量も大きいブラジルは、コロナ禍にもう少しうまく対処できる可能性もあった。だがジャイル・ボルソナロ大統領は新型コロナを「軽いインフルエンザか風邪」と決め付けてロックダウン(都市封鎖)に反対し、早期の経済再開を重視。度重なる失策と透明性の欠如が社会の分断を招いている。

2億の人口と多様な民族を抱える大国ブラジルは、世界で最も貧富の格差が大きい国の1つでもある。最大都市サンパウロのファベーラ(スラム街)では、病院に患者があふれ、医療品の不足が深刻化している。もとより不安定だった職を失った人々は補助金受け取りに長い列を作り、家賃を払えずに路上生活に追い込まれた。

政治と社会の不備が追い打ちをかけ、コロナ禍はこの国の最貧層に最も大きな打撃を与えている。

ppbrasil02.jpg

サンパウロ郊外の高架下で寝泊まりするホームレスの集団。柱にはボルソナロ大統領がドナルド・トランプ米大統領の操り人形にされる様子を描いた壁画が(2019年7月)


ppbrasil03.jpg

家賃が払えず家を失った人々がサンパウロ北部の非居住者用キャンプに流れ着き、掘っ立て小屋を建てて住み着いている


ppbrasil04.jpg

サンパウロ南部のファベーラ(スラム街)で、新型コロナ感染が疑われる74歳の女性を支えて救急車に運ぶ救急医療班の看護師たち

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、米特使と和平案巡り会談 欧州に「戦う準

ビジネス

次期FRB議長の人選、来年初めに発表=トランプ氏

ビジネス

ユーロ圏インフレは目標付近で推移、米関税で物価上昇

ワールド

ウクライナのNATO加盟、現時点で合意なし=ルッテ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 3
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドローン「グレイシャーク」とは
  • 4
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 5
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 6
    もう無茶苦茶...トランプ政権下で行われた「シャーロ…
  • 7
    【香港高層ビル火災】脱出は至難の技、避難経路を階…
  • 8
    22歳女教師、13歳の生徒に「わいせつコンテンツ」送…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story