Picture Power

【写真特集】人とゾウが築いた400年の共生関係

TAMED TUSKERS

Photographs by SENTHIL KUMARAN

2020年06月06日(土)14時40分

クルンバはゾウを家畜のように屈服させるのではなく、互いに信頼できる「家族」として共に生きているという

<インド南部に暮らすクルンバ族は、ゾウを長い時間かけて調教し、信頼関係を築く>

経済発展と人口増加により、インドでは森林が急速に姿を消している。それによってもたらされたのは、野生動物の生息地の激減と、土地をめぐる動物と人間の摩擦の激化だ。

インドゾウは、食料や水を求めて1日20キロも移動する。だがその経路は、人間の農園や住宅地、道路で分断されてしまった。さらに森林の減少によってゾウの生活圏と人間の居住地は接近し、双方が命を落とす出来事も増えた。

そんなインドで、400年以上前からゾウと特別な関係を築いてきたのが、同国南部に住むクルンバ族だ。人間を襲って捕まったゾウであっても長い時間をかけて調教し、信頼関係を築く。使うのは、意思を伝えるための棒だけだ。

飼いならされたインドゾウはクムキと呼ばれ、野生のゾウを人間の生活圏から森に誘導する際などに大事な役割を果たす。また、地元のサファリツアーや農業の手伝い、道のない場所の警備にも力を貸す。クルンバとクムキの活動は、人間とゾウの争いや密猟の減少に確かに貢献している。

――センチル・クラマン

ppele01.jpg

クルンバの男性を背中に乗せて歩く推定年齢48歳のビジャイ。ゾウの年齢は歯を調べることで推測できる

ppele03.jpg

1971年にインド南部で捕らえられた雌のゾウ


ppele04.jpg

1986年に捕らえられた推定年齢33歳のジャンブ


ppele05.jpg

推定年齢33歳のチェラン。クルンバが訓練に使うのは細い棒だけ


ppele06.jpg

両親を失った2歳のスリニバス。ゾウの襲撃を恐れる人々は、電気柵や毒入りの餌で対抗しているという

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、ベネズエラ沖でタンカー拿捕 一段と緊張高まる公

ビジネス

ブラジル中銀、4会合連続で金利据え置き タカ派姿勢

ビジネス

FRBが3会合連続で0.25%利下げ、反対3票 緩

ワールド

復興計画の原則で合意とウクライナ大統領、クシュナー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story