Picture Power

【写真特集】オールブラックスの変わらぬ誇り

BLACK AND PROUD

Photographs by PETER BUSH

2019年10月25日(金)17時00分

若手で構成するオールブラックス・ジュニアが首都ウェリントンで全英連合ブリティッシュ・アイルズに19対9で敗れた試合は「マッドメン・マッチ(泥まみれの男たちの試合)」と呼ばれる(1977年)

<ニュージーランド先住民族マオリの価値観「マナ(誇り、名誉)」を深く理解しているからこそ、オールブラックスは謙虚でそして驚異的に強い>

ラグビーのニュージーランド代表は黒ずくめのその姿から「オールブラックス」と呼ばれる。1903年に初の国際試合を行って以来、対戦相手そしてラグビーファンにとって、賛美と畏怖の対象であり続けてきた。77%超という驚異の勝率ゆえだ。

人口わずか500万人弱の小国ニュージーランドにとって、ワールドカップを3度制したオールブラックスは自国の存在意義そのものだ。先住民族マオリの文化を排除するよりむしろ取り込んだこの小国は、マオリの「マナ(誇り、名誉)」という価値観も受け入れた。「マナ」を深く理解しているからこそ、世界最高レベルでありながら、どのオールブラックスの選手も謙虚だと評される。そして謙虚さは強さの根源でもある。

写真家のピーター・ブッシュは49年以来、60年にわたってオールブラックスを撮影し続けてきた(ブッシュの写真展『MANA──オールブラックスの60年』がニューヨークのアナスタシア・ギャラリーで11月23日まで開催中)。彼のレンズが捉えた選手たちの瞳には、いつの時代も燃えるような闘志と「マナ」が映し出されている。

<日本では、アディダス ブランドコアストア 渋谷4階の「アディダス シブヤ スタジオ(ADIDAS SHIBUYA STUDIO)」で11月3日まで開催中>

allblacks02.jpg

アパルトヘイト(人種隔離政策)が続いていた南アフリカの有色人種代表チーム「プロテアス」とケープタウンで対戦(1976年)


allblacks03.jpg

ウェールズ代表と南島クライストチャーチで対戦。脳震盪とあごの骨折で倒れた相手選手を介抱する。倒れた選手は不正なプレーでペナルティを受けた(1969年)


allblacks04.jpg

紛争の緊張下にある北アイルランドのベルファストで英兵の警護を受けながらアルスター代表と対戦し、19対6で勝利(1972年)

Photographs by ©Peter Bush from "MANA: 60 Years of All Blacks Photography" at Anastasia Gallery, New York

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ軍撤退なければ、ドンバス地方を武力で完全

ビジネス

アングル:長期金利2.0%が視野、ターミナルレート

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ワールド

ADBと世銀、新協調融資モデルで太平洋諸島プロジェ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story