コラム

ゴーンの何が悪いのか?

2018年11月20日(火)15時14分

これも経営ではよくある話であり、典型的な会社の私物化であり、どの会社でも大なり小なりまかり通っているトップや出世欲の強い人々の行動パターンであろう。

しかし、今回は、日産に対して大きな企業価値の毀損をもたらしたのであり、その一部が刑罰に値するという形で顕在化しただけであり、本質的な罪は遥かに大きいと考える。

日産はここからが勝負所だ。

客観的には非常に困難であるし、ルノーグループ全体も非常に大きなダメージを受けるから(あるいはこれまでの問題が今後明らかになっていくだろうから)、前途多難だ。なおかつ、日産という企業そのものが、ゴーンが来る前の時点でかなり傷んでいた(キャッシュフローではなく企業のスピリッツという意味で)ことを考えると、主観的にも極めて悲観的にならざるを得ない。

そうだとしても、今回の事件および逮捕は公正を貫く上でも、日産の長期的な価値という意味でも、必要なことだったと考える。

*この記事は「小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記」からの転載です

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プロフィール

小幡 績

1967年千葉県生まれ。
1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現財務省)入省。1999大蔵省退職。2001年ハーバード大学で経済学博士(Ph.D.)を取得。帰国後、一橋経済研究所専任講師を経て、2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應ビジネススクール)准教授。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。新著に『アフターバブル: 近代資本主義は延命できるか』。他に『成長戦略のまやかし』『円高・デフレが日本経済を救う』など。

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