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シリーズ日本再発見

東京は泊まりやすい? 一番の不満は「値段」じゃなかった

2016年12月02日(金)11時10分
中村美鈴

 彼が今回の旅行で唯一奮発したのは大阪で泊まった旅館だ。「日本の伝統的な宿に泊まってみたかった。高額なので1泊しかできなかったけど」

 確かに日本旅館の「和」は外国人観光客への大きなアピールポイントになる。東京の大手町で7月にオープンした「星のや東京」は都心で体験できる高級旅館を売りにし、11月にリニューアルオープンした「グランドプリンスホテル高輪」は一部を旅館風に改装した。政府も宿泊施設の不足分を補うために、ホテルに比べて稼働率の低い日本旅館の集客力を高めたいと考えている。

 とはいえ、東京で旅館に泊まりたいというニーズは、実はそれほどないのかもしれない。

「欧米化されたホテルではなく日本の文化や食事に触れることができる旅館は機会があればぜひ泊まってみたい」とチャンさんが言うように、外国人の関心は高いだろうが、ファンさんと林さんは「旅館に泊まるとすれば地方の街で、東京では泊まらない」との意見だった。東京で観光や買い物に忙しい旅行者は、宿選びでは交通の便の良さとコストパフォーマンスを重視する傾向があるだろう。

 どうせ日本旅館に泊まるなら、地方の温泉につかって、その土地の料理を堪能しながらゆっくりしたい──そう考えている外国人観光客は少なくないのかもしれない。


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