最新記事
シリーズ日本再発見

東京は泊まりやすい? 一番の不満は「値段」じゃなかった

2016年12月02日(金)11時10分
中村美鈴

「サービスと設備は良いが、狭さに驚いた」

 東京を何度も訪れている韓国人のファン・ジェウォンさん(27歳)は、サンルートやアパなどのビジネスホテルに滞在することが多いが、気になるのは部屋の広さだという。「女性はまだ大丈夫だけど、弟や知人の男性にホテル探しを頼まれると悩む」。リピーターだけに、ここ数年で東京のホテル料金が値上がりしているのも感じているらしい。

 ビジネスホテルより少し高めの中級ホテルでも、「狭い」という声はあった。台湾人の林軒民さんは、VIP会員であるハイアットまたはプリンス系列のホテルを利用することが多く、たいてい1泊2万円前後の部屋に泊まる。「東京のホテルは他の国や都市と比べて宿泊料は適正だと思うが、部屋は広いとは言えない」と、林さんは言う。

 今年9月に家族で東京観光に来たときは、ハイアットでもプリンスでもなく、新宿駅近くに昨年開業したホテルに1泊2万円弱で4泊した。新しいホテルを「試してみたい」と選んだ結果、「サービスも設備も良かったけど、あまりの狭さに驚いた」と言う。

 一方、高級ホテルに宿泊した場合は、部屋の広さよりも値段が気になるところ。台湾人のサンドラ・チャンさんは今年7月、夫と娘2人と一緒に初めて東京を訪れた。旅の一番の目的だったディズニーランドに隣接するホテルに3泊、東京駅直結の東京ステーションホテルに1泊した。それぞれ1泊あたり5万円台後半から6万円以上の出費だった。

「部屋の広さや清潔さ、スタッフの気遣いやレストランには大満足だったけど、宿泊料金は高かった」と、チャンさんは言う。それでも「タイトなスケジュールのなかで、まだ7歳の次女を連れて歩くことを考えて、ホテル選びでは交通の利便性を重視した」

「東京で和の旅館」は外国人にウケるか

 あえて「狭小ホテル」を選択した人もいる。11月に初めて日本を訪れたフランス人のエマニュエル・ロワラレントリさん(27歳)は、東京で最初の夜をカプセルホテルで過ごした。「フランスにはこんな宿泊施設はないから」と、物珍しさから選んだ宿だった。

 2日目からの5泊はサクラホテルを利用。宿泊客の大半を外国人観光客が占めるホステルで、個室と相部屋がある。ロワラレントリさんは2段ベッドが4台詰め込まれた8人用の相部屋を選んだ。「ひとり旅行のときは、こういった宿に泊まったほうが人との出会いがあるから」と、彼は言う。

 一方、友人と一緒に旅行するときはAirbnbを好むらしい。4~5人で1軒家または広いアパートを借りれば、十分なスペースを確保しながら安く上げることができる。キッチンもついているので、「外食が高くつく国で長期滞在する場合は自炊で節約にもつながる」。

 東京のあとは京都と大阪ヘ向かい、約2週間の日本観光を楽しんだロワラレントリさん。これまでヨーロッパや北米、カリブ海の国々などを旅行したことがある彼は、「日本(の大都市)のホテル料金は、パリやロンドンと同じぐらい高い」と言う。

【参考記事】「365日アートフェア」を掲げ、ホテル アンテルーム 京都が増床リニューアル

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米財務長官、FRBに利下げ求める

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=

ビジネス

GM、通期利益予想引き下げ 関税の影響最大50億ド
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中