コラム

夏の旅行は機内食汚染に注意

2010年07月01日(木)10時40分

 一足先に南アフリカで夏の旅費を使い果たした一握りの人々は別にして、これからが夏の旅行シーズン本番だろう。思い返せば、去年も一昨年も海外旅行どころか近隣の県くらいにしか出かけていない。せめて今年は飛行機を使うようなところに旅行に行きたい。

 空の旅といえば、機内食がつきもの。たいていの人にとってはものすごくおいしく感じられるようなものでもないが、機内では食べて寝て映画を見る以外にすることもないから、いつの間にかペロッと完食してしまっている。

 そんな機内食について、衝撃的な事実が発覚した。USAトゥデーによると、米食品医薬品局(FDA)の調査で、アメリカ産の機内食が極めて不衛生で危険な状態で調理されていることが分かったという。

 それによれば、アメリカ最大の機内食ケータリング会社LSGスカイシェフのコロラド州デンバーの施設をFDAの検査官が立ち入り調査したところ、「あまりに多すぎて数えられないほどの」生きたゴキブリとゴキブリの死体に遭遇した。その報告では、他にもアリやらハエが見つかり、従業員は素手で食品に触れていて、厨房の床からは免疫系の弱い子供や高齢者に致命的な感染を起こすこともあるというリステリア菌やバクテリア菌などが検出された...と背筋も凍るような記述が並んでいる。

 さらに、他の米機内食大手、ゲートグルメやフライングフードグループなどの多くの施設でも、不適切な温度で食品が保管され、衛生状態の劣悪な調理器具が使われ、ゴキブリやネズミなどが発見されたという。ビジネス専門サイトのビッグマネーは、「機内食は味が不快なだけではない。存在そのものが不快だ」と手厳しい

 アメリカ国内の話、と聞き流してばかりもいられない。何しろ、LSGスカイシェフ1社だけで、世界300以上の航空会社に年間4億500万食を提供しているというのだから。

 長引く航空業界の低迷で、経費削減のため機内食を廃止したり有料化したりする路線も増えている。空の旅の快適さを追求すると、機内食がないことが最高のサービス......なんてことになってしまうのだろうか。

――編集部・高木由美子


このブログの他の記事も読む

プロフィール

ニューズウィーク日本版編集部

ニューズウィーク日本版は1986年に創刊。世界情勢からビジネス、カルチャーまで、日本メディアにはないワールドワイドな視点でニュースを読み解きます。編集部ブログでは編集部員の声をお届けします。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米CBS、エルサルバドル刑務所の調査報道放映を直前

ワールド

新潟県議会が柏崎刈羽原発再稼働を容認、「地元同意」

ワールド

タイ自動車生産、11月は前年比11%増 国内向け好

ワールド

英労働市場、求人減少も賃金上昇 中銀にジレンマ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 8
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 9
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story