コラム

トランプ再選で円高は進むか?

2024年07月24日(水)16時05分

ドル円の方向性を左右するものは......

こうした中で、トランプ氏の「対ドルでの円安や人民元安がはなはだしい」との発言が影響してか、トランプ氏再選となれば、ドル安円高が進むとの見方が散見される。もっとも、トランプ氏の発言の真意について見方は様々だろう。貿易赤字が政治問題になるとドル安が進むという過去の日本の経験を踏まえて、米政府の通貨政策を重視する向きがある。


 

ただ、ドル安を望むトランプ政権となってドル安が進む可能性は低い、と筆者は考えている。2016年時にトランプ氏が大統領に就任する前に、日本の為替アナリストなどが円高リスクを掲げていたことを思い出さざるを得ない。当時の大統領選挙を前に、トランプサプライズ=円高の見方は妥当ではないと筆者はメディアで考えを示した。そして、実際にトランプ政権発足とともにドル高円安に動いた。

ドル円の方向性は、大統領などの発言ではなく、米日経済・インフレの先行きに対する思惑が大きく左右する。トランプ政権が自国の経済成長を重視、公約どおり関税引き上げを行うのであれば、これはインフレ率を高める方向に作用する。

2025年に米政府が大規模な関税引き上げ政策を行えば、9月会合にも利下げを始めるだろうFRBの利下げは、2025年中に終わる可能性が高まる。こうした中で、為替市場でドル安が起きる可能性は低いため、トランプ再選となれば円高が進むリスクは限定的になると筆者は考えている。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

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プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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