コラム

大評判作『ワン・バトル・アフター・アナザー』が感じさせるアメリカの「反復力」

2026年01月29日(木)15時29分

ILLUSTRATION BY NATSUCO MOON FOR NEWSWEEK JAPAN

<ポール・トーマス・アンダーソン監督は、トマス・ピンチョンの原作から40年以上過ぎた現在に時代を置き換えたが違和感は全くない>

とにかく前評判が高かった。ここ数年で公開された映画の中では圧倒的にナンバーワン。知り合いの多くもSNSなどで「圧倒的にすごい」「何度でも観たい」と絶賛していた。

ポール・トーマス・アンダーソン監督については、『マグノリア』しか観ていない。評価の高い『ブギーナイツ』も『パンチドランク・ラブ』も未見だ。『マグノリア』のあのラストは大好きだが、全体のトーンやテンポが何となく合わなかったこともあったのかもしれない。


本作『ワン・バトル・アフター・アナザー』は公開終了ぎりぎりに観た。確かに面白い。テンポも小気味いい。ところどころににじむ脱力のユーモアがアクセントとして秀逸だ。

キャスティングもいい。とにかくレオナルド・ディカプリオはダメ男が似合う。ショーン・ペンの怪演は予想を超えた。設定や造形がよく分からないのにベニチオ・デル・トロの存在感も素晴らしい。アンダーソンの過去作も改めて観たくなった。

ディカプリオ演じるパット・カルフーンは、不法移民収容所から移民を救出する極左革命グループ「フレンチ75」のメンバーだ。不法移民のために彼らは爆破テロを繰り返す。これが映画の冒頭だ。

プロフィール

森達也

映画監督、作家。明治大学特任教授。主な作品にオウム真理教信者のドキュメンタリー映画『A』や『FAKE』『i−新聞記者ドキュメント−』がある。著書も『A3』『死刑』など多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日経平均は小幅続落、原油高基調を嫌気 海外株高は支

ワールド

自衛隊の中東派遣、「情報収集」目的で政府検討 ホル

ビジネス

独企業倒産件数、25年は前年比10.3%増 11年

ビジネス

午後3時のドルは159円台を上下、介入警戒でも買い
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングアップは「2セット」でいいのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 6
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 7
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    ぜんぜん身体を隠せてない! 米セレブ、「細いロープ…
  • 10
    50代から急増!? 「老け込む人」に共通する体の異変【…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story