ヌーベルバーグを議論する黒沢清たちを横目に麻雀ばっかりやっていた......そんな僕の『勝手にしやがれ』体験
撃たれて絶命寸前のミシェルがつぶやく「本当に最低だ」を受けて、いきなりカメラ目線になって「最低って何のこと?」とパトリシアが言う有名なラストシーンも含めて、リアルな演技や自然な編集をゴダールはことさらのように否定する。ドヤ顔がちらつく。結論。僕はこの「意味ありげ」が嫌なのだ。
ピカソやシャガールの絵を見て、さっぱり分からないとぼやく人がいたら、意味など考えずに感じればいいのにと誰だって思うはずだ。それは分かる。僕もピカソやシャガールは大好きだ。でも僕は、映画館では絵画ではなく映画を観たいのだ。
『勝手にしやがれ』(1960年)
©1960 STUDIOCANALーSoーciete Nouvelle de CinematographieーALL RIGHTS RESERVED.
監督/ジャンリュック・ゴダール
出演/ジャンポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ
<本誌2025年7月22日号掲載>
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