コラム

TikTokは実際のところ、どれだけ「危険」か? 中国当局へのデータ提供、個人の追跡、情報操作...実態を解説

2025年05月13日(火)18時34分

中国批判のコンテンツが他のSNSより圧倒的に少ない

結果は、中国を批判するコンテンツが、InstagramやYouTubeよりもTikTokではるかに少なかった。この実態は、アメリカで若者の4分の1が使うTikTokにどのような影響を及ぼすのだろうか。若者たちは定期的に主にTikTokからニュースを得ているため、見た目よりも重要である。

アメリカがTikTokを禁止するもう一つの理由としては、中国は、Google、Facebook、その他多くの欧米のアプリやプラットフォームを禁止しているが、西側は中国のメディア、中国のアプリ(そして中国製の商品)を受け入れてきた。中国は、もし彼らとその政府が台湾、香港、新疆などに関する共産党の方針に従わない場合、西側の個人や企業に対して市場へのアクセス取り消しやその他の罰則を日常的にちらつかせる。

しかし、西側はこれまで中国に対してそのような政策をとっておらず、力の非対称性を生み出している。これこそが、インドでTikTokのような中国のアプリが禁止されている理由であり、一般的に、戦略的競争の時代には容認できない状況を生み出している。

政府や企業のみならず、個人のサイバーセキュリティまでもが不可欠になった現代、自分たちの資産を守るには、セキュリティを脅かすアプリなどへの警戒は怠ってはいけない。

中国人大佐2人による1999年の著書『超限戦』を見れば、現代の中国の戦い方を垣間見ることができる。本著では、次のようなことが明示的に述べられている。

プロフィール

クマル・リテシュ

Kumar Ritesh イギリスのMI6(秘密情報部)で、サイバーインテリジェンスと対テロ部門の責任者として、サイバー戦の最前線で勤務。IBM研究所やコンサル会社PwCを経て、世界最大の鉱業会社BHPのサイバーセキュリティ最高責任者(CISO)を歴任。現在は、シンガポールに拠点を置くサイバーセキュリティ会社CYFIRMA(サイファーマ)の創設者兼CEOで、日本(東京都千代田区)、APAC(アジア太平洋)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アメリカでビジネスを展開している。公共部門と民間部門の両方で深いサイバーセキュリティの専門知識をもち、日本のサイバーセキュリティ環境の強化を目標のひとつに掲げている。
twitter.com/riteshcyber

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