コラム

TikTokは実際のところ、どれだけ「危険」か? 中国当局へのデータ提供、個人の追跡、情報操作...実態を解説

2025年05月13日(火)18時34分

中国はすべてのデータにアクセスできる

ByteDanceは、米国事業を中国事業から分離したと見せているが、これは単なるパフォーマンスだと見ていい。技術チームは少なくとも半数が中国に配置されており、主要な経営および技術部門は中国で運営されており、中国はすべてのデータにアクセスできる。

アメリカでTikTokへの警戒が高まった主な理由は、TikTokがアメリカのユーザーをスパイし、そのデータを中国共産党に送信していることだった。さらに中国の検閲とプロパガンダの対象となり、アメリカのユーザーに中国共産党の言い分を支持させようとしていることだった。

TikTokはまた、特定のジャーナリストの動きを追跡し、そのデータを中国のByteDanceひいては共産党と中国の情報機関に送信していることを認めざるを得なかった。TikTokが収集するデータには、ユーザーの物理的な位置情報に加えて、顔と声のプリント、閲覧履歴、テキストメッセージ、その他の電話に関連する機能が含まれる可能性がある。

またTikTokのアプリにアクセス許可されたブラウザは、キーロガー(パスワードなどユーザーの入力情報を記録する機能)のように動作する。データは、海外にあるとされる違法な警察署のネットワークを通じて市民を脅迫するために使用される可能性がある。

さらに中国政府はTikTokを使用して、アメリカの若者にプロパガンダを広め、中国政府が好まないことを言うアメリカ人を黙らせる可能性がある。米ルトガース大学の研究者は、TikTokでの中国政府による情報操作に関するいくつかの研究を発表している。その研究では、TikTokのトピックをInstagramやYouTubeの同様のトピックと比較した。

プロフィール

クマル・リテシュ

Kumar Ritesh イギリスのMI6(秘密情報部)で、サイバーインテリジェンスと対テロ部門の責任者として、サイバー戦の最前線で勤務。IBM研究所やコンサル会社PwCを経て、世界最大の鉱業会社BHPのサイバーセキュリティ最高責任者(CISO)を歴任。現在は、シンガポールに拠点を置くサイバーセキュリティ会社CYFIRMA(サイファーマ)の創設者兼CEOで、日本(東京都千代田区)、APAC(アジア太平洋)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アメリカでビジネスを展開している。公共部門と民間部門の両方で深いサイバーセキュリティの専門知識をもち、日本のサイバーセキュリティ環境の強化を目標のひとつに掲げている。
twitter.com/riteshcyber

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英中銀総裁、市場が利上げ織り込み過ぎとけん制 成長

ビジネス

米スペースXがIPO申請、 21日にアナリスト説明

ビジネス

中東紛争は総合物価押し上げ、コアへの影響限定的=ク

ビジネス

米自動車販売、第1四半期はGMとトヨタが前年比減
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 8
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 10
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story