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「夜間の犯罪は明るくすることで防げる」は本当か? 街灯の防犯効果について考える
ここまで述べてきたように、街灯に関しては、間違った知識がまかり通っていると言わざるを得ない。その最たるものが青色防犯灯だ。「イギリスのグラスゴーで街灯を青くしたら犯罪が減った」と報じたテレビ番組に触発され、全国で設置が相次ぎ、その数は3万を超えた。
しかし、これは誤報だった。というのは、グラスゴーで青色灯があるのは、目抜き通りのブキャナン通りだけで、それ以外の道路の街灯は白色だからだ(写真参照)。青色灯は景観美を演出する観光用のライトアップとして設置されたもので、当初から防犯目的ではなかったのだ。

日本では、暗い場所では赤色よりも青色の方が明るく見える「プルキンエ効果」が青色防犯灯設置の根拠とされた。しかし、明るく見えるのは光源であり、光源が照らす地面が明るく見えるかどうかは、表面がどのくらい光を反射するかにかかっている。反射率は白に近いほど高く、黒に近いほど低いので、石畳のブキャナン通りなら青い光が反射し道路を明るくできるが、アスファルト舗装の日本ではわずかしか反射せず路面は暗いままである。
さらに、青色の鎮静効果も設置の根拠とされた。確かに、青色には人を落ち着かせる効果がある。だからといって、鎮静効果と防犯効果はイコールではない。下見やイメージトレーニングを通じて、十分鎮静している犯罪者が多いからだ。鎮静していない犯罪者はミスをしてすぐに捕まるが、鎮静している犯罪者はなかなか捕まらない。その結果、犯罪のほとんどは鎮静している犯罪者によって引き起こされることになる。この種の犯罪者については、鎮静効果を論じても意味がない。
ロバート・レスラー元FBI捜査官は、「殺人犯についての私たちの調査では、全体の3分の2が秩序型、3分の1が無秩序型と判断された」と述べている。つまり凶悪犯罪者でさえ、多くは冷静で計画的であり、衝動的ではないというのだ。
一方、興奮している犯罪者に対する鎮静効果も疑問である。興奮の原因が飲酒や覚醒剤である場合、青色を見ただけで冷静に戻るとはとても思えないからだ。
間違った防犯の常識
このように、プルキンエ効果と鎮静効果は青色防犯灯設置の根拠にはなり得ない。色の効果自体は科学的に認められても、それを防犯に応用する段階で論理の飛躍がある。ここでもまた、間違った防犯の常識が、ボタンの掛け違いを生んでしまったのだ。
なぜ多くの間違った常識がはびこるのか。それは、防犯について知らないからではない。知っていると思い込んでいるからである。「人がトラブルに巻き込まれるのは知らないからではない。知っていると思い込んでいるからである」とアメリカの作家マーク・トウェインは語ったが、防犯についても同じことが言える。
現代社会では犯罪に関する情報が満ちあふれ、そのため、人々は犯罪について知っていると思っている。しかし、本当に知っていると言えるためには、「犯罪機会論」を知らなければならない。「入りやすく見えにくい場所」が危険で、「入りにくく見えやすい場所」が安全だということを、ゆめゆめ忘れないでいただきたい。
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