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中国BYD「低価格EV」は英国市場の黒船か、脱炭素化の救世主か...英自動車産業「絶滅の恐れ」の声も
元MI6長官「EVは車輪のついたコンピューター」
昨年、世界で1710万台のEVが販売され、うち1100万台が中国で販売された。世界のバッテリー生産量の85%は中国に集中する。自国外で販売される中国製EVのシェアが70~80%を占める新興国もあるが、英国7%、フランス5%、ドイツ4%、米国ゼロと米欧市場では弱い。
現代の自動車はナビゲーションシステムやリアルタイム交通情報、テレマティクス(車両遠隔通信)、スマホ機能と接続し、自動車のソフトウェアをリモート更新する「オーバー・ジ・エア(OTA)アップデート」を導入する車種もある。
このため国家安全保障の懸念もくすぶる。リチャード・ディアラブ元英秘密情報部(MI6)長官は中国製EVを「車輪のついたコンピューター」と呼び「いつでも遠隔操作で再プログラムできる技術によってロンドンを無力化できる」可能性を示唆している。
基地周辺での中国製バッテリーなど含むEVの駐車を禁止
英国防省は高度なセキュリティーが求められる基地周辺で中国製バッテリーやセンサー含むEVの駐車を禁止したほか、国防関係者はEV内で政府高官や軍関係者が機密事項を話すことを避け、スマホを接続しないよう注意を促したとも報じられる。
中国の華為技術(ファーウェイ)の高速通信規格「5G」を巡る騒動と同じように米国と異なる英国の中国製EVに対する門戸開放政策が今後、波紋を広げるかもしれない。
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