コラム

英アンドルー王子、未成年者との性的関係疑惑で「更迭」 米捜査当局の召喚迫りエリザベス女王が苦渋の決断?

2019年11月21日(木)17時30分

同年6月、エプスタイン被告とギレーヌ女史がエリザベス英女王主催のウィンザー城でのダンスパーティーに招かれる。

同年12月、アンドルー王子がギレーヌ女史の誕生日を祝うパーティーをエリザベス女王所有のサンドリンガムの別邸で開く。エプスタイン被告も招かれる。

01年、バージニア・ロバーツさん(当時17歳)の証言によると、アンドルー王子と3回性的な関係を持つ。最初の関係はロンドンにあるギレーヌ女史邸。あとの2回はニューヨークのエプスタイン被告邸、そしてカリブ海に同被告が所有する島でのどんちゃん騒ぎだったとされる。

06年5月、未成年者への性的暴行でエプスタイン被告に逮捕状。その2カ月後、同被告はアンドルー王子の長女ベアトリス王女の誕生日を祝ってウィンザー城で開かれた仮面舞踏会に招待される。

08年、エプスタイン被告が司法取引に応じて未成年者買春の罪を認め、禁錮1年半の有罪判決。この時の担当はフロリダ州マイアミの連邦地方検事で、後にトランプ大統領に労働長官に指名されるアレクサンダー・アコスタ氏。アコスタ長官はその後、秘密裏に行った司法取引を批判され、辞任に追い込まれる。

10年、アンドルー王子はエプスタイン被告の出所を祝ってニューヨークで開かれた身内のディナーパーティーに出席。エプスタイン被告邸で女性を見送る姿や、セントラルパークをエプスタイン被告と一緒に歩いているところを隠し撮りされる。

11年、アンドルー王子が疑惑に関連して英貿易特使を辞任。

15年、英王室が、アンドルー王子が17歳だったバージニアさんと性的関係を持ったという裁判所への訴えを否定。バージニアさんの証言は「信用できない」と退けられ、アンドルー王子に関する訴えは裁判記録から削除される。

19年7月、エプスタイン被告が性的搾取を目的とした未成年者の人身取引容疑で再逮捕される。有罪の場合、最高45年の禁錮刑が科される可能性があり、被害者の中には14歳の少女も。3週間後に自殺。

同年8月、エプスタイン被告の別の被害女性ジョアンナ・シェーベルイさんも01年にニューヨークの同被告邸でアンドルー王子に胸を触られたと証言していることが発覚。

自分の遺伝子を残す「牧場」を計画していた性豪

バージニアさんはBBCの調査報道番組パノラマの取材に応じていましたが、アンドルー王子のインタビュー前に放送されなかったことに憤慨しています。

マンハッタンの収容施設で死亡しているのが見つかったエプスタイン被告はアンドルー王子のほか米大統領就任前のトランプ氏やビル・クリントン元米大統領ら政治家、有力者、著名人らと「セレブな関係」を続けていました。

このため同被告の死は「自殺」ではなく「口封じのための他殺」との憶測もくすぶっています。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

BRICS首脳会議、ガザ・イランへの攻撃非難 世界

ビジネス

日産、台湾・鴻海と追浜工場の共同利用を協議 EV生

ワールド

マスク氏新党結成「ばかげている」、トランプ氏が一蹴

ワールド

米、複数の通商合意に近づく 近日発表へ=ベセント財
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story