コラム

迷走の末、「無意味な減税」に行きついた岸田政権の経済対策...「全額給付」の方がマシとすら言える理由

2023年11月08日(水)19時46分

それでも岸田政権は維持される?

しかしながら、一連の状況が岸田政権にとって致命的なのかどうか現段階では判断できない。政治というのは不思議なもので、次期総裁の最有力候補がいなければ、消去法的に現政権の権力を維持できてしまう。

次期総裁の有力候補の1人である茂木敏充幹事長は、当面は幹事長職を全うせざるを得ず、仮に総裁選になっても自らが総裁候補として名乗り出ることは難しい。最大派閥である安倍派は、萩生田光一政調会長と西村康稔経産大臣という2人の有力候補がおり派内を二分している。

河野太郎デジタル相も有力候補の1人かもしれないが、マイナンバー制度の失策で厳しい状況が続く。

つまり現時点では明確に次を狙える人物が不在となっている。いつ選挙があるのか誰にも分からないが、問題が先送りされつつ、政権が維持される可能性は十分にある。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

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