コラム

日本経済は「貯蓄があるから大丈夫」...勘違いする人が見落としている「現実」

2022年01月25日(火)17時43分

つまり、日本経済が成長軌道に乗れば、必然的に資金需要が増えるので、お金は自動的に企業の設備投資に回っていく。ニワトリとタマゴの議論に近いが、預金を投資に回せば経済が良くなるというよりも、景気が良くなることで必然的に家計の貯蓄が企業に回ると考えたほうが自然だ。重視すべきなのは預金の活用方法ではなく、経済成長の道筋を確立することである。

経済学の基礎理論の1つである貯蓄投資バランス論では、国内貯蓄は、設備投資と財政収支、経常収支に案分される。今のところ家計と企業の貯蓄超過が政府の資金不足をファイナンスしているが、もし景気が拡大して企業の設備投資意欲が高まれば、政府と企業の両方が資金を必要とするので、国内貯蓄だけでは資金不足になる可能性がある。これは、高齢化と低賃金の進行で貯蓄率が低下し、貯蓄が減った場合にも当てはまるだろう。

日本の財政収支が改善する見込みは薄く、貯蓄投資バランスの式において財政収支は定数として機能している。財政収支が改善しない場合、式をバランスさせるためには、海外からの資金流入を増やす必要が出てくる。良質な資金が獲得できるよう国内金融市場を整備しておくことは重要な課題となってくるかもしれない。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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