コラム

日本が「脱炭素」を根本から見直すべき理由 市場価格が示す世界の潮流とは

2021年05月18日(火)12時43分

一部の専門家は排出権取引ではなく、政府が合理的に価値を算定し、炭素税などの形で公的に徴収するほうが経済の安定に寄与すると主張している。

政府が一方的に炭素税の税額を決定すれば、脱炭素への投資額が税額と同じになるまで確実に支出が続く。設定された税額で本当に排出量を削減できるのかはやってみなければ分からないが、経済全体の制御はたやすいだろう。一方、排出権取引の場合には、価格が青天井になるリスクはあるものの、削減量が最初に決まるので目標達成は容易と考えられる。

いずれにせよ脱炭素と金融市場は密接に関係しており、思い切った脱炭素投資を実施するとともに、関連市場や税制を整備できる国こそが次世代のリーダーになれる。日本ではいまだに脱炭素懐疑論が幅を利かせているが、国際社会は想像を超える速さで変化している。排出権価格の高騰は、残された時間は少ないという現実を暗示している。

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プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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