コラム

セブン初のレイアウト刷新で株価15%上昇も? 狙うは「お惣菜」拡充

2017年08月01日(火)14時01分

winhorse-iStock.

<今期だけで、新レイアウトの1800店舗が展開予定。独走するセブンの次の一手とは>

成長の限界が囁かれるコンビニ業界において、セブン-イレブンが新たな売り上げ拡大策に乗り出した。同社が編み出した手法は店舗レイアウトの刷新。むやみに店舗数を増やせない状況において、店舗レイアウトの変更は、業容を拡大する最後の手段ともいえる。

レイアウトの全面刷新は創業以来、初めて

国内のコンビニ市場は総じて飽和した状態にある。出店に適する場所には、ほぼ限界いっぱいまで各社が出店しており、これ以上、店舗の拡大余地はないとの見方が大半だ。人口動態の変化で新規出店や退店は続くが、あくまでプラスマイナスゼロに近い状況が続くだろう。

このままでは、人口減少によってコンビニ各社は縮小均衡を余儀なくされてしまうが、企業は常に成長を求められる存在である。業界トップであるセブンにとってはなおさらのことだ。店舗数を変えずに売上高を拡大するには、商品構成を積極的に変えていくしかない。セブンはとうとう、創業以来、初めてとなる店舗レイアウトの全面刷新を決断した。

普段、お店を利用している時にはあまり意識しないかもしれないが、店舗のレイアウトは売上高と密接な関係がある。どの場所にどのような商品を配置するのかで、店舗の業績は大きく変わってくるのだ。
 
従来のセブンの店舗は、入り口を入ると左手にレジカウンターがあり、右手に雑誌が配置されるというケースが大半だった。雑誌を立ち読みする人が外から見えるようにして、歩行者に来店を促す仕掛けである。カウンターの近くには、お弁当やチルドの棚があり、カウンターの反対側には飲料が入る大型冷蔵庫が配置されることが多い。物件の間取りにもよるが、基本的にはどの店舗も同じ方針に沿って商品が配置されている。

新レイアウトの店舗では、入り口の右側に雑誌があるという点は同じだが(店舗によってはイートインも検討している模様)、雑誌のスペースは大幅に縮小され、入り口の左側は冷食の棚となった。レジカウンターは奥に移動し、おでんや揚げ物、コーヒーを拡充するためカウンターが3割ほど長くなっている。雑誌スペースが縮小し、冷凍食品とファストフードが大幅に増えていることが分かる。

【参考記事】ローソン不振の原因は経営者か親会社か
【参考記事】アマゾンがコンビニ進出! Amazon Goは小売店の概念を180度変える

レイアウトを変えると株価が15%上昇する?

今回のレイアウト変更でセブンが狙っているのは、客単価と利益率の向上である。セブンの1店舗あたりの平均的な年間売上高は2億3000万円に達するが、これは競合他社と比較して突出して高い(例えばローソンは約1億6000万円程度)。その理由は店舗の立地の良さから、もともとの来客数が多く、それをうまく活用して単価の高い商品を販売できているからである。

このところ女性の社会進出の本格化など、日本人のライフスタイルが大きく変化しており、家で料理を作るケースが少なくなっている。これまでの時代なら食材はスーパーなどで買うケースが多かったが、コンビニに冷凍食品が並べば、コンビニですべての買い物を済ませる人も増えてくるため、さらなる売上高の拡大が見込める。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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