コラム

チャットGPTには分析不能なウクライナ戦争

2023年06月02日(金)17時40分

さらにこれは犯罪の領域だが、4月29日付の英エコノミスト誌は、アフガニスタン産のヘロインがウクライナ領を通ってオデーサ(オデッサ)港などから西欧に流出していると報じた。戦争でロシアとウクライナのマフィアの協力が途切れ、ルートに変更が起きている。ウクライナは、欧州に大量のタバコも密輸している。

そして「傭兵隊長」プリゴジン。17世紀に起きた三十年戦争の花形ワレンシュタイン傭兵隊長は、増長した挙げ句、雇い主の神聖ローマ皇帝に暗殺された。プーチン大統領を罵ったプリゴジンも、そろそろ粛清される頃だ。

ウクライナ、ロシアは一筋縄では理解できない。ロシア国民の大多数は戦争を嫌がりながらも、負けたくはない。生活の安定を何よりも重視し、プーチン、そしてそれに続く指導者への支持をやめないだろう。

ウクライナ戦争、ロシアについてはAI(人工知能)に手を加え、「Aは、実はBを意味する」などとねじ曲げておかないと機能しない。不条理AIとでも言おうか。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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